第4話魔法を覚えた
騒がしさで目覚めた。その騒ぎは1階から聞こえていた。
あ、そうだ。ギルドで魔法を教えてくれるかも知れないんだ。
サッサッと仕度をして1階へと下りた。
1階の食堂では、冒険者がせわしく喰ってる最中だ。
ガツガツと食べて大声で話して、又も食べての繰り返しだ。
ちょうど席が空いたので座ると、おばさんがテーブルにやって来て片付けだした。
「朝は、AとBの2種類しかないよ。Aが銅貨2枚でBが銅貨3枚だけど」
「Aでお願いします」そう言って銅貨2枚を出した。
出てきたのは、パンとスープだけだ。隣を見ると肉が皿にのっている。
どんな肉か分からないから良かった・・・それにしても美味そうに喰ってる。
あ!なんて固いパンだ。スープに漬け込んで喰うしかない。
スープも微妙な味だな。しかも何の野菜だ見た事ないぞ。
気が付いたら誰も居ないぞ。
「あんた、ゆっくりしてるね。もうギルドが開いたはずだよ」
腕時計を見た。あれ!時計が止まってる。
まあいいか・・・まだ薄明かりなのに、そんなに早いのか・・・薄味のスープを一気に飲んだ。
そしてギルドに向かった。
ギルド内は、列を成して騒々しく熱気があふれている。
あんな中には到底入れそうにない。
それに、こんなに早くからギルドマスターは居ないだろう。
その間にボードをゆっくりと見てた。
あ!オークの討伐があった。確か地下ダンジョン22階で現れたのもオークだ。
報酬は、オーク10体で銀貨3枚だ。
一番上には、ドラゴンの討伐依頼もあった。
ドラゴンがここには居るらしい。なんて物騒な世界だ。
その内容は、冒険者を募っての討伐だ。日にちが書いてるが、今の時点で、ここの日にちすら知らない。
周りを見てもカレンダーは無かった。
ようやくすいたので3番目に並んだ。
なんだこのおっさんは、頭がフケだらけだ。いつ頭を洗ったんだ。
「あ!あんたか・・・ここの裏側に行って待っててくれるか・・・外から回ってくれ」
言われるまま外に出て、それらしい路地を通って裏側に出た。
数人が剣の
「カン、カン」と打ち合っていた。
中々の力で打ち合っていた。
次の打ち合いで木剣がクルクルと飛ばされた。
「あ!しまった」
「しっかり持て!魔物は待っててくれないぞ。後は自主練で飛ばされないようにしっかりやれ」
生徒らしい数人は、互い対戦を申し込んで打ち合いが始まった。
あの教えていた人が俺の所へ向かって歩いてきた。
「お前だな、雷魔法の素質はあるみたいだな」
「はい」緊張してしまった。
なんか、それだけのオーラをかもし出していた。
「俺はギルドマスターのシレンだ」
「は、わたしはイサムです」
「そんなに緊張しなくていいぞ。カミナリを見た事があるか? あるならイメージしてみろ。そして魔力を体内に集めてみろ」
イメージしながら、体内に力を込めた。
5分が経過しても何も起こらない。ダメなのか・・・
「魔法を見た事があるのか?」
「ゴブリンが使ってるのを見ました」
「ゴブリンか・・・奴の魔法では参考にもならないな」
俺の後ろに回って、背中に手の平で軽く触ってきた。
「これが魔力だ」
なんだ。この温かい物は・・・うっすらと汗が出てきた。
「あ!感じます」
「それを更に集めろ。そしてカミナリのイメージをあの目標の木人に放て」
見ると練習用の木人が何本も立っていた。
いわれるまま集中すると、更に温かい物が集まるのを実感した。
もう自分自身でもパンパン状態だと分かった。
あの木人に当てればいいのか、やってやる。
急に体から抜ける感じがした。
急に空が曇りだした。ピカッと光って「ドカン」と音がした。
木人に亀裂が入って燃え出した。
え!これが魔法なのか・・・俺が放ったカミナリなのか・・・
「なんだ、一発でカミナリが放てたな。お前には、
このギルドマスターから色々な話を聞いた。
もっと上達すれば雨を降らせて、嵐まで呼び寄せる事も可能らしい。
あの神須神社の話が現実になってきた。
右上の時間が、2:25:33になっていた。
そろそろ人が居ない所へ移動する必要に迫られた。
俺自身になにが起きるか分からないからだ。
「ありがとう御座いました。ちょっと用事を思い出したので失礼してもいいですか?」
「用事なら仕方ないな。魔法の練習は
礼を言って足早に去った。
正門を出て、人が居ない所まで走った。
時間は、0:03:03だ。
すぐに立ち止まった。刻々と時間が経過した。
4、3、2、1、0・・・急にあの鏡が目の前に現れた。
手で触れると、又も吸い込まれた。
俺は、納屋の中に居た。帰ってこれたんだ。
体をあっちこっちまさぐったが異常はない。
俺は急いで家に入った。居間のスマホで日付けと時間を見た。
9月20日の11時12分。
「え!嘘だ!」
俺が異世界に行ったのに、数分しか経過してないぞ。
向こうに行ったら、時間経過が
あれ!画面に新たに表示されてるぞ。
【亜空間魔法】だ。
異世界へ行って帰ったせいか・・・
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