第3話この異世界での戦い




これが宿屋のおばさんが言ってた武器屋か・・・それなりの店だ。

飾られてるものは、どれもこれもなまくらだ。

これなんか鋭さが無く、剣の重さで叩き切るような物だ。


だからサイラ隊長は、俺からナイフを買ったのか・・・そうに違いない。


タルの中に更にガラクタの武器が突っ込まれていた。

あれ!黒い刀があった。刃渡り30センチで刃は切れそうにない。


急に画面が現れた。

暗黒刀あんこくとう、魔力を込めれば切れ味抜群の刀】

そんな凄い刀なのか・・・

この暗黒刀から微かな魔力がもれだしてるのが見えるぞ。

微かな魔力が画面を反応させたのか・・・そんな感じだ。


「にいちゃん、気になるなら買えば・・・なにも持ってないなら買う事を進めるね」


「これっていくら」


「それは銀貨1枚だよ」


「買った!」


「にいちゃん、気にいったみたいだな。もう1つあるけど買うか」


「買うよ、早く見せてくれ」


「せかすなよ・・・あれ!どこだ。あ、あった」


「銀貨2枚だよ」


刃渡りは70センチもあった。

あ!!【暗黒吸刀あんこくきゅうとう、魔力を込めれば切れ味抜群で、斬られた者の能力を奪う】とでたぞ。


どんだけの刀だ。凄過ぎるぞ。

ちょっと興奮しながら、銀貨3枚を手渡した。


「まいどありーー」



さやが無いから腰のベルトに、無理やり差込んだ。

やはり刃がないから、差込んでも問題なかった。


もう、こんな刀が手に入ったなら、魔物を狩るしかない。


「冒険者ギルドって何処か教えてくれるかな」


「店の左へ行って大通りで左に行けば見えてくるはずだ」


「そうなんだ・・・」




ここがギルドか・・・壁のボードに貼ってある依頼書がまったく読めない。

注目したのは、くたびれた依頼書だ。

俺の勘だと雑魚の依頼書だろう。他の依頼書は、新しいものしかないからだ。


又も【文字翻訳もじほんやく】と表示された。


『ゴブリン、10体を討伐して右耳を10枚もって来い 報酬:銅貨20枚』


そして初心者は、登録などせずに討伐部位を持ってくれば、金に換えてくれるらしい。

そんな事が依頼書の下に書いてた。


そして注意書きには、その仕事振りを見てギルド職員が登録をすると書かれてた。

それで一人前の冒険者になるみたいだ。


あ!矢印が表示された。多分、ゴブリンが居る場所へ案内しているのだろう。




正門を出て、ひた走り続けた。



やはり矢印が指し示した先に、ゴブリンが居た。

急いで木に隠れた。

そして暗黒吸刀を抜いた。え!魔力って俺にあったのか・・・

見えたならあるに違いない。


暗黒吸刀を見詰めながら力を込めた。

ブワンッと赤いオーラが刀身にまとっていた。これなら行けるぞ。


俺は木から出た。

そして走った。ゴブリンも気付いたみたいだ。

3体のゴブリンが「ギーギー」と叫びながら向かってきた。


なんだ、ゴブリンの動きが遅いぞ。

振り被った奴の首と腕を、同時に斬った。

なんの手応えも無く斬れた。そのまま返す刀で次のゴブリンを斬り上げた。

ゴブリンの胴体が斬れて、ずり落ちた。


なんだ、火球が飛んできた。

え!魔法なのか・・・ダンジョンでも魔法なんか見たり聞いた事も無いぞ。


急いで横に飛んだ。間一髪かんいっぱつだ。


なんとか助かった。あ!ゴブリンが杖を振り被ったぞ。

そのタイミングで左にけた。

回転しながら立上がった。


後方で熱を感じた。メラメラと地面を燃やしてる。



俺は必死に走り、火球が発生する前に斬った。

あ!熱いものを感じる。


【火魔法習得】と表示された。


魔法・・・本当にあるんだ。熱いものを感じたのは魔法習得のせいだ。


この杖を振ってみたがダメだった。

火球など出ないぞ。なぜだ・・・画面を見続けた。

なんの反応もない。どうしていいのか全然分からん。

そうだギルドで聞けば、何か分かるかも知れない。



ゴブリンの右耳を切った。

3体の右耳を切ったが、ゴブリンは消えない。

やはりダンジョンの世界と違うな。


胸を裂いて魔石を取り出した。ああ~ぁ、気持ち悪いな~。

3つの魔石を拭いてポーチに入れた。


再度、魔法の練習をしたがダメだった。



画面が表示されてゴブリンの接近を知らせてきた。


高く伸びた草から、ゴブリンが7体も現れた。

杖を持ったゴブリンが笑っている。

まるで俺を見下してるようだ。


俺はおもいっきり、暗黒吸刀を奴に向かって投げ付けてやった。

なぜか怒りが込み上げた判断だ。なぜそんな行動を取ったのだろう。


しかし、奴に暗黒吸刀が突き刺さった。

持った杖を落として、暗黒吸刀を引き抜こうともがいて死んだ。

周りのゴブリンは、あたふたして見てた。

その時になって理解した。


【雷魔法習得】と表示された。


雷なら避けようもない魔法だ。だからだ。

ベルトから暗黒刀を抜いて、残りのゴブリンを斬って斬りまくった。


最後のゴブリンは逃げ出した。

俺が逃がすはずは無かった。背中をおもいきり斬った。

その切り傷からドッと血が吹き出した。


ドッとひたいから汗が流れた。

雷魔法なんて反則だ。


服はゴブリンのかえり血で緑に染まっていた。




街に帰る途中で、川で服を洗った。

しぼった服は木の枝に掛けてた。ついでに体も洗った。



ギルドに入った時は、日も暮れだしていた。



「これをお願いします」


「初心者だね。ソロでやってるのかい・・・仲間を募った方がいいんだが、あいにく初心者はあんたたけだ」


「あ!魔法を教えてくれる人は居ませんか?」


「あんた、魔法の素質があるのかい」


「あります。雷魔法と火魔法の素質があると思います」


「結構、あやふやだね・・・ギルドマスターに聞いておくよ。ギルドマスターは雷魔法士だからな、明日来るといいよ」


「明日来ますのでよろしくお願いします」


銅貨20枚をもらって宿に帰った。

おばさんに鍵をもらって部屋に入った。

そのまま硬いベッドに倒れ込んだ。知らない間に寝てしまった。



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