精霊様と焼き鳥もぐもぐ
畳は専門のお店があるのかなと思ったら、大きいお店とかで買えるらしい。というより、心桜島に畳の専門店はないのだとか。
というわけで、真美に連れてきてもらったのはホームセンター。日用品とかたくさんの商品が並ぶお店。すごい。
「わあ」
本当にいろいろあるみたい。毎日使うような洗剤とかから、あまり使わなさそうな何かのパイプまで、本当にいろいろだ。ここをじっくり見て回るだけでも一日かかりそう。
でも今日はとりあえず畳を買う。ホームセンターのちょっと奥まで行くと、畳がたくさん並んでいた。ちょっと大きめの畳を三つ購入。これを並べればなかなかいい感じになると思う。
「ありがとう、真美」
「いえいえ」
真美に手を振って、お家の前に転移した。
さてと……。お日様がちゃんと当たる場所に置きたいかな。畳に保護魔法をかけて、お庭に並べる。お日様がしっかりと当たる場所だ。地面に置く前に簡単に草刈りをして平べったくしておいたから、これで大丈夫だと思う。
それじゃ、早速。
「んー……。うん。いい感じ」
『マジで庭に直接並べるとはw』
『いいな、日光たっぷりで気持ちよさそう』
『雨とか心配だけど……。魔法でどうにかしてるか』
保護魔法をかけておいたから大丈夫。劣化はしないはず。
んー……。この独特な香りもいいと思う。とてもいい気持ち。ぬくぬくだ。
「ちょっとお昼寝する」
『あいよ』
『ごゆっくり』
ころんと寝転がって、目を閉じる。んー……。とても、いい。ぬくぬく。
『ほんとに丸くなって寝てる……』
『猫かな?』
猫じゃないよ。
目を覚ますとお日様が少し傾いていた。晩ご飯には早いけど、そろそろ精霊様にお土産を渡しに行こう。
ぐっと伸びをする。夜もここで寝ちゃおうかな?
『リタちゃんおはよー』
『ぐっすりだったなあ』
『かわいい寝顔でした』
次からは配信を切ってからお昼寝した方がいいかもしれない。
その場で転移して、世界樹へ。すると精霊様はすでに待っていて、ちょっとだけ呆れたような視線を向けていた。
「リタ……」
「ん?」
「まさか外で昼寝するとは思いませんでした」
「気持ち良かった」
「そ、そうですか」
『まったく悪びれもしないなw』
『日本ならともかく、結界でちゃんと安全にしてる場所だからな』
『その理屈なら、地球上どこでもリタちゃんのお昼寝スポットになりそうなw』
さすがに知らない人がたくさんいる場所でお昼寝しようとは思わないよ。
そんなことより、お土産だ。
「はい、精霊様。お土産」
アイテムボックスから取り出して並べていく。
まずはお菓子類から。温泉まんじゅうとぬれ煎餅やぬれおかき。温泉まんじゅうはちゃんとできたてももらっておいた。アイテムボックスに入れておいたから、まだまだ熱い。
「どうぞ。精霊様」
「はい。いただきますね」
精霊様はさっそくおまんじゅうを口に入れて、少しだけ驚いたように目を丸くした。
「これは……。たまに食べるおまんじゅうとはまた違いますね。熱いとこうも変わるなんて……」
「ん。こっちも美味しい」
「やわらかい煎餅とは……。なるほど」
精霊様もちゃんと気に入ってくれたみたいで安心だ。
それじゃあ、次は、焼き鳥。
「これは、焼き鳥。お酒と一緒に食べると美味しいらしい」
「リタ、まさか……」
「飲んでないから」
飲んでみたいと思うことはあるけど、みんなだめだって言うから我慢する。それに、ジュースの方がやっぱり美味しいと思うし。
「ご飯と食べても美味しかった」
「確かに、濃いめの味付けですし、ご飯に合いそうですね」
「ん」
「そのご飯はないのですか?」
「…………。あ」
『あ』
『あー……w』
『そういえばお土産にご飯はもらってないなw』
ご飯もちゃんと買っておけばよかった。反省だ。当たり前だけどテレビの人を怒るつもりはない。買ってもらった立場だしね。
精霊様は苦笑すると、森に植えてあるお米を炊いてくれた。いつかの護衛の時に食べたお米と同品種のものだ。日本のお米と比べるとちょっと微妙だけど、それでもちゃんと美味しい。
「なるほど。確かにお米と合います。美味しいですね」
「ん」
私も自分の分を食べる。やっぱり焼き鳥は美味しい。焼き鳥だけを買いに行くのもいいかもしれない。他のお店でも買えるものだと思うから、他の美味しい焼き鳥を探すのもいいかも。
しっかり食べて、完食。大満足だ。
パックを片付けてアイテムボックスに入れていたら、精霊様に抱き上げられてしまった。そのまま膝の上に載せられる。なんだろう?
「精霊様?」
「リタ。温泉というのは楽しかったですか?」
「ん。楽しかった。気持ち良かった」
「ふふ。それは何よりです」
なぜかなでなでされる。なんだろう。精霊様に撫でられるのは気持ちいいから、私としては嬉しいけど。もっと撫でてもいいよ。
「精霊様、どうしたの?」
「いえ。コウタが帰ってきたら、こうして甘やかすことは難しくなるでしょうから……」
『師匠さんにべったりしそうだもんな、リタちゃん』
『精霊様、寂しくなりそう』
『泣かないで』
「泣いてませんが?」
どうなんだろう。師匠が帰ってくるまでは分からないけど……。さすがに精霊様を無視するようなことはないよ。絶対に。
「精霊様も大好きだよ」
「ほら、どうですか。リタはとても良い子でしょう!」
『落ち着け精霊様w』
『分かってるからw』
精霊様に撫でてもらうのは好きだからね。精霊様とはずっと一緒だ。私の、帰ってくる場所だから。そんなことを撫でられながら思いました。でもそろそろ解放してほしいな。
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