畳でお昼寝
のんびり歩いて、旅館に戻ってきた。しばらくはお部屋でのんびりだ。
「ごろごろ……」
「リタちゃんがすっかり畳の虜になってる……」
『わかるよ、畳いいよね』
『ごろーんとだるーんとできるのがいいんだ』
『リタちゃんの目の前に猫じゃらしを垂らしたら反応してくれそう』
猫じゃないからさすがにやらないよ。
テレビも見れるみたいだけど、私はこれを見たいっていう番組はない。どちらかというと、旅先でないとできないことをやりたい。だから畳でごろごろする。
「んー……。絶対に畳を買う。お庭に置く」
「え。庭に直置きするの……?」
「ん。魔法で汚れないようにしたりする」
『なにそれ気持ちよさそう』
『とても深い森の中、神秘的な木漏れ日……』
『その木漏れ日に照らされる……、畳』
『神秘的……神秘的か?w』
『ギャグアニメで出てきそうw』
なんだかちょっと失礼なことを言われた気がする。
んー……。それにしても、お部屋がぬくぬくしていて、とても気持ちがいい。ちょっとお昼寝したくなっちゃう。ここで寝たら気持ちいいかも。
「リタちゃん。眠い?」
「んー……」
「晩ご飯の時間になったら起こしてあげるよ」
「ん……。お願い……」
「うん」
せっかくなので、ちょっとだけ寝ちゃおう。魔法の維持だけできるようにして、と。
「ん?」
「気にしないでね」
「ん……」
真美が頭を撫でてくれてるのが、ちょっと心地いい。それじゃ、ちょっとだけ……。
『なんだこの……なんだこれ……』
『てえてえ』
『むしろお母さん』
『真美ちゃんにママ味を感じる』
変なこと言ったら真美に怒られるよ。
真美に体を揺すられて、目を覚ました。いつの間にかお日様が真っ赤になってる。夕方、だね。晩ご飯の時間らしい。
「おはよう、リタちゃん。よく眠れたみたいだね」
「ん。気持ち良かった」
「そっか」
『めっちゃぐっすりやったな』
『安心感たっぷりなふにゃふにゃ寝顔でした』
『今来たワイ、リタちゃんの寝顔が見れなくて落ち込みそう』
『どんまいw』
寝顔なんて見てもおもしろくないと思う。それよりも晩ご飯だ。
晩ご飯はここでも食堂でも食べられるみたいだけど、今回は落ち着いて食べられるようにこの部屋で食べることになった。
旅館の人がたくさんのお料理を運んできてくれる。なんだか、すごくいっぱいあるね。どれも量は少なめだけど、その代わりに種類が多いみたい。
霜降りのお肉とか、お魚の切り身とか、どれも丁寧に盛り付けられていて美味しそう、なんだけど……。んー……。
とりあえず、食べてみよう。いただきます。
「もぐもぐ」
「わ……。お肉がすごく柔らかい。美味しい」
「お酒が好きな人はご飯と一緒にお酒を楽しむことができるメニューね」
『旅館の会席料理って美味しそうだよね』
『でもなんかリタちゃんの反応がちょっと微妙では?』
「え」
真美と高崎さんの顔がこっちを向いた。あまり見ないでほしい。
「リタちゃん。口に合わなかった?」
「美味しいけど、もっといっぱい食べたい。それぞれが少なすぎる」
「あー……」
『なるほど、リタちゃんはそっち派か』
『美味しいものをある程度の量は食べたいってわけね』
『だったら確かに会席料理とかはちょっと不向きかも?』
もちろん美味しいのは美味しい。でも、私は美味しいと思った料理をしっかりと味わいたい。ちょっとずつはあまり好きじゃない。
でも、とりあえず完食。全体的にとても美味しかった。
「よし。リタちゃん」
「ん?」
「外食行こっか!」
「ん」
外食。外でのご飯。とても素敵な響きだと思う。是非行こう。
「ご飯を食べて、夜の温泉! どう?」
「行く。楽しそう」
「だよね!」
夜の温泉も楽しみだね。
「高崎さんはどうします?」
「ごめんなさい。お酒、飲んじゃったから……」
「あー……」
『収録中っていう自覚あるんですかねこの女優w』
『むしろあるからこそ、宿でのお酒を紹介したのでは?』
『そっちの宣伝も兼ねてるならしゃーなしか』
残念だね。でもとりあえず私はご飯だ。
真美と一緒に、早速出かけることになった。美味しいもの、あるかな?
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