カップ麺

「リタちゃん、どれを食べたい? 醤油、シーフード、カレー、味噌、塩……。なんでもあるよ」

「んー……。カレー味も気になる……でも他のもおいしそう……。んー……」

「ちょっと買い置きしてたものだから、何個でもいいよ」

「じゃあ……」


 もらったのは、カレーとシーフード。真美は味噌で、ちいちゃんはカレーだった。

 それじゃ、早速食べよう。作り方は簡単、ポットからお湯を入れるだけ。


「ちなみに、種類によっては中に小袋が入っていて、お湯の前に入れたり後に入れたりといろいろあるよ。何か美味しそうなものがあって買うなら気をつけてね」

「ん」


 カップ麺もいろいろ、なんだね。

 真美にお湯を入れてもらって、あとは待つだけ。とても便利だ。


「真美。真美。ご飯はある?」

「パックご飯ならあるよ」

「欲しい」

「温めておくね」


 ご飯もレンジでほかほか。とても、とっても便利。


『ラーメンライスの沼にはまるのか……』

『おい誰だよリタちゃんに変なこと教えたやつ!』

『なんだよ文句あっか?』

『いやよくやった』

『草』


 美味しければいいよ。でも真美が言うには体にはあまりよくないらしいから、みんなは気をつけてほしい。

 三分経ったからフタを剥がす。ぺりぺりっと。最後におはしでしっかりと混ぜて……。完成、かな? とてもいい香り。お腹が減っちゃう。


「いただきます」


 少しスープを飲んでみる。んー……。お店で食べるよりちょっと微妙かもしれないけど、でも十分美味しい。あの手軽さでこの味を楽しめるなら、やっぱりすごい発明だと思う。

 まずはカレー。カレーライスみたいなとろとろのカレーじゃないけど、ちゃんとカレーの味と香りだ。うん。美味しい。


「これはとてもいいもの」

「あはは。喜んでくれてよかった。ごめんね、カップ麺で」

「んーん。美味しい」

「うん……」

「でも真美の料理の方がすごくおいしい」

「うん!」


『真美ちゃんが百面相してるw』

『カップ麺を美味しいと言われてもやっとして、でも料理の方が美味しいと言われてめちゃくちゃ嬉しそうで、いいっすねえ』

『長文やめろw』


 カレーの次は、シーフード。ご飯を入れるならこっちかな? カレーの方に入れても、しゃばしゃばなカレーライスにしかならないと思うから。

 シーフードのスープも、悪くない。イカみたいなのも入ってる。結構さっぱりとした味で、美味しい。とろみがあるスープでもないのに、麺にしっかりとスープの味がある。いいね。

 麺を食べ終わったところで、ご飯をいれる。それからしっかりと混ぜて……。


「リタちゃん、スプーンの方がいいよね?」

「ん……」


 おはしだとちょっと食べにくいかなと思ったところだった。

 スプーンでスープとご飯を一緒に食べる。おー……。これは、いい。すごくいいもの。ご飯にしっかりとスープの味がしみていて、美味しい。


「おいしそう……」

「ん? ちいちゃんも食べる?」

「たべる!」


 でもちいちゃん、まだ自分の分が残ってるけど……。いっか。スプーンでちいちゃんの一口サイズぐらいで食べさせてあげる。ふんにゃりとちいちゃんが笑って、とてもかわいい。


「おいしい!」

「ん……。おいしいね」

「ふふ……」


『なんやこの幸せ空間』

『おかしい……ただのカップ麺のはずなのに……』

『お前らの舌が肥えすぎなんだよ反省しろ』

『さーせんwww』


 カップ麺、美味しいよ。さすがに毎日これだとちょっと困るだろうけど、カップ麺も悪くないと思う。

 全部しっかりと食べ終えて、ごちそうさまでした、と。


「それじゃ、リタちゃん」

「ん?」

「せっかくのお泊まりだし、映画でも見る?」

「えいが」


 テレビはよく見るけど、映画は見たことがない。一時間以上あると、あまり見る気が起きなかったから。

 でも今日は夜までいっぱい時間があるし、映画も悪くないかも。


「見る」

「ちいも! ちいも!」

「はいはい……。それじゃあ、アニメ映画にしよっか。そうだね……」


 真美が選んだのは、小学生ぐらいの女の子が異世界みたいな場所に家族と迷い込んで、温泉宿で働くことになったお話。

 リビングでのんびりと映画を見る。んー……。


「このおばさん、殺してしまった方が世のためだと思う」

「いや、あの、リタちゃん……」

「たいした魔法も使えないみたいだし、殺すべき」

「落ち着こう!?」


『創作だから落ち着いてw』

『リタちゃんから見たらそりゃたいしたことない魔法なんだろうけどw』

『あかん魔法使いが出るアニメだと酷評されそう』


 さすがにそんなことはしないけど。動く漫画だと思えばいいってことだよね。あまり難しいことは考えないようにしよう。

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