サンドイッチとお肉の駅弁

 改めて、ごはん。アイテムボックスから取り出したのは、三個入りのサンドイッチ。大きなカツが入ったサンドイッチで、ソースもたっぷり。美味しそう。


「んふー」


『新幹線の椅子を確認している時より楽しそう』

『そりゃお前、食欲の魔女だから』

『飲呑(いんとん)の魔女ですね分かります』

『やめろwww』


 変な漢字にしないでほしい。食べるのは大好きだけど。

 包装をはがして、サンドイッチを手に取る。おお……。分厚い。食べ応えがありそう。

 口に入れて噛んでみると、見た目と違ってとても柔らかかった。簡単に噛みちぎれる。濃厚なソースの味が口の中いっぱいに広がって、とても美味しい。


「もぐもぐ。うまうま」


『いいなあいいなあ』

『あのサンドイッチなら大きい駅に行けばわりと置いてるかも』

『お前ら落ち着け、まだ駅弁は二つあるぞ……!』

『誘惑がすごい……!』


 サンドイッチ、美味しいよ。おすすめ。

 じっくり味わって食べて、買っておいたオレンジジュースを飲む。果汁百パーセント。美味しい。


『めちゃくちゃ満喫してるぞこの子w』

『あれ? おかしいな。新幹線の配信だと思ったら、ただただ快適に過ごしてる子供がいる』

『リタちゃんが楽しそうならそれでよし!』


 ん。結構快適だよ。


「のんびりしている間に移動できる……。とてもすごい。私も飛びながら食べるのはできない」


『確かに別のことしながら移動できるのはいいよな』

『車にはない利点』

『いやリタちゃんの場合転移すれば一瞬で移動できるのでは』


「…………。サンドイッチ美味しい」


『流されたw』


 それは言わないお約束、だと思う。ほとんど私にしかできないことだし。

 気付けば電車が二回止まって、新横浜駅を出発した。ここから一時間以上、止まらずに動くらしい。のんびりできるね。

 窓からの景色も、いつの間にかビルとかが少なくなって、なんだか落ち着いた雰囲気になってる。木とか畑とかいっぱい。それに。


「おお……。はやい。すごくはやい。おー……!」


 思った以上に速いと思う。景色が流れていってる。すごい。


『リタちゃんのテンションがめっちゃ上がってるw』

『お顔は相変わらずだけど声のトーンでよく分かるなあ』

『窓にかじりついてるのがまんま子供すぎるw』


 だって景色すごい。おもしろい。びゅーんってやつだね。


『飛んでる方が速いと思うんだけどなあ』

『いや、飛んでる時って景色遠いじゃん。新幹線からの景色はわりと近いから、その分速く感じてるんだと思う』

『なーるほど』

『ところでリタちゃん、お弁当は?』


 あ、そうだった。お弁当食べよう。景色を楽しみながらお弁当を食べる。すごく贅沢だと思う。

 アイテムボックスに手を突っ込んで、お弁当を取り出す。お肉ど真ん中ってお弁当。お肉がたっぷりのお弁当だ。きっと美味しい。


 包装を剥がして、中を見てみる。見て分かるほどにお肉がぎっしり。お野菜の煮物かな? それもちょっと入ってるけど、やっぱりお肉がいっぱいだ。

 お肉は二種類かな? そぼろみたいになってるものと、普通のもの? とりあえず食べよう。一口ぱくりと。


「んー……。ちょっと甘めのタレだね」


 結構濃いめの味付けだと思う。お肉だけじゃなくてご飯にもしっかりと絡まっていて、お肉とご飯がとっても合ってる。

 濃いめの味付けでちょっと飽きやすいかもしれないけど、そういう時にお野菜の煮物を食べる。お口の中がさっぱりして、またお肉が美味しく食べられる。よく考えられてるお弁当だ。


「ん。とても美味しい。すごく美味しい。好き」


『見れば分かる』

『もっきゅもっきゅ食べる君が好き』

『すごい勢いで減っていくw』


 これは、とても美味しい。三つぐらい食べたい。後でもう少し買おうかな。いやでもまだお弁当はあるし、たこ焼きも食べたいし……。難しいね。


「んふー」


『そしてあっという間の完食でした』

『めちゃくちゃ食べたい今すぐ食べたいどうすれば』

『新幹線乗ってこい』

『牛丼で代用は……できないか……』


 さすがに味が全然違うと思うよ。

 お弁当の満足感に浸っていたら、何か声が聞こえてきた。えっと……。お飲み物やお弁当などいかがですか、みたいな声。なんだろう?

 通路にちょっと顔を出して見てみたら、大きめのワゴンを押して、女の人が歩いてた。なんだろうあれ。


『車内販売ってやつやな。ワゴン販売とも言われたりする』

『ちょっと割高だけど、お弁当やアイス、コーヒーとかも買えるよ』

『特にアイスオススメ』


 アイス。何か違うのかな。買ってみよう。

 ワゴンが近くに来たところで、手を上げてみた。


「欲しい」

「はい、ありがとうございま……っ!?」


『あ、固まった』

『リタちゃんが乗ってるとは思わなかったんだろうなあw』

『リタちゃんも有名になって……おじちゃん嬉しいよ……』

『後方腕組み保護者がおる。なお不審者です』

『後方腕組み不審者……?』


 変なこと言ってる視聴者さんは無視して、アイスを買おう。女の人はすぐに気を取り直して、笑顔になった。


「ありがとうございます。何かご入り用でしょうか」

「アイス食べたい。オススメらしいから」

「バニラとチョコレートがありますが、どれになさいますか?」

「両方」

「ですよね」


『ですよねwww』

『さてはこの人視聴者やな?w』

『いいなあ羨ましいなあ!』


 アイスクリームを二つ購入して、受け取る。おー……。とても冷たい。あと、なんだかとても固いような気がする。真美のお家で食べるアイスよりずっと固い。なにこれ。

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