ピザトースト
しばらく待っていると、真美が戻ってきた。その手のお盆には、お皿が三枚。テーブルに並べるそれを見てみると、使ってるのは食パンみたいだ。
食パンにたっぷりとチーズがかかっていて、とろとろに溶けてる。とても美味しそう。
「トッピングはシンプルにウインナー。どうぞ」
「ん」
ピザトーストを手に持ってみる。本当に焼きたてみたいで、ちょっと熱い。でも、以前食べたピザと違って、これはとてもサクサクしてる。食パンの耳だけじゃなくて、全体的にサクサクだ。
チーズもたっぷりで、あと何かソースみたいなものを使ってるかも。トマト味のような、少し違うような。でもそれがチーズに合っていて、食べやすい。
出前で食べたピザにも負けてないと思う。うん……。とっても美味しい。
「んふー」
『あかんめちゃくちゃ美味そう』
『音が! 音がすごくいい!』
『サクサクを維持しながらも必要以上に焦げてない……』
『真美ちゃんの料理スキルマジで高いよなw』
「ん。真美の料理はとっても美味しい。好き」
「もう……。そんなに褒めてもお代わりしか出ないからね」
「わーい」
『わーい (無表情)』
『草』
『ちゃんとお代わりも用意してる真美ちゃん優しいw』
『表情薄いのにめちゃくちゃ嬉しそうって分かるのは慣れなんかなw』
チーズがとってものびてる……。ウインナーも美味しい。幸せ。
『あかんもうピザトーストに夢中になってるw』
『ちょっと俺もピザトースト作るわ』
『俺もちょっと材料買ってくる』
みんなで作ればいいと思うよ。
美味しいピザトーストを食べられて、とっても満足できる朝ご飯だった。
「あれ? 朝ご飯三回目のような……?」
『気付いてしまわれましたか』
『いっぱい食べる君が好き』
『しかもピザトースト三枚食べてるしなw』
いやだって、美味しかったから……。
ふと真美を見ると、なんだかとっても微笑ましいものを見るような目だった。少しだけ恥ずかしい気がする。
「リタちゃん、この後はどうするの?」
「んー……。どうしようかな……」
朝ご飯をたくさん食べたけど、お昼ご飯もちゃんと食べたい。でも今回の一番の目的はクリームシチュー。だからお昼は、観光が目的でもいいかも……、いややっぱりご飯も欲しい。悩む。
「決まってないから、安価する」
「あ、じゃあ私も参加しようかな」
「ん? 何かあるの? そこに行くけど」
「やっぱり今のなしで」
えー……。真美のオススメがあるなら、そこに行きたかったんだけど……。一番安心できるから。
『あっぶねえw』
『真美ちゃんへの信頼が大きすぎて安価がなくなるところだったw』
『真美ちゃんの俺らへの気配りがありがたすぎてな……』
「あ、あはは……」
視聴者さんのため、だったのかな。目的地を決める手段なだけだから、私としてはどっちでもいいんだけど。安価を楽しんでくれてるのは知ってるけど、それはそれ、これはこれ、というやつだ。
「リタちゃん、私も普通に参加したいだけだよ。だめかな?」
「ん。いいけど」
「ありがとう」
イベントに参加する、みたいな感覚なんだって。よく分からない。
とりあえず、安価だ。今回はどこになるのか、それはそれでちょっと楽しみだね。
「いつも通り。手を叩いてから十番目のコメント。日本語のみ。外国はなしで日本限定。もし外国が選ばれたらやり直し」
『いつもの』
『わりとみんなルール守るよな』
『いやだってどうせなら、自分の地元に来てほしいから』
『そりゃそうだw』
そもそもとして日本語以外はほとんど弾いてるからかもしれないけどね。
両手を前に出すと、一気にコメントが減っていった。いつも思うけど、面白い。試しに手を下げてみよう。
『ちょwww』
『フェイントはひどいと思います!』
『露骨な待機からのコメントの増え方よw』
本当にみんな待ってるんだね。
ふと真美を見てみると、何とも言えない顔で私を見ていた。
「…………。ごめん」
「うん」
なんだろう。怒られた気がしました。
『真美ちゃんが強すぎるwww』
『つよつよ真美ちゃん』
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