第3話 特進クラスなのに野球部の2人

 桃園中央高校モモコウの特進クラスは普通科の入学試験の成績上位者から選抜された40人で構成。ただし2年への進級の前に進路調査と志望校、直前の実力テストによって40人枠が再構成される。難関大学を志望しない、または志望はするが成績が下降している生徒は普通科に戻され、1年時は普通科でも進路調査までに成績が上がり難関大学を志望する生徒は入れ替えで特進クラスに編入される。

 皆川慶彦ミナガワ ヨシヒコは入学試験1位で特進枠に余裕で入り、学内の実力テストでは夏休み明けに3位に後退したが、進路調査直前には1位に返り咲き、野球部と勉学を見事に両立している。

 特進クラスには、もう1人の野球部員、森伸治もり しんじがいて、この春からキャプテン。野球部の2人だけが部活をしており、38人は「帰宅部」だ。


 特進クラスの金曜日3時限目は保健体育で、通常なら教室での保健の授業の予定だったが、朝補講のあとの朝ホームルームで担任の竹田先生(国語科)から時間割の変更が知らされて一時ざわついた。

「本日は3時限目の保健体育のコマを急きょ国語のコマに振り替えます。その代わり来週の金曜日4時限目に振り替えて3時限目から続けてグラウンドでソフトボール、とのことです」

 A4プリント用紙が前列の生徒から順に配布された。それには「4時限目に芸術クラスとクラスマッチ」と記されていた。

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