第4話 クラスマッチに入れ込む広津先生に違和感!?

 特進クラスの担任・竹田が保健体育担当の広津先生が用意してくれた「ソフトボール・クラスマッチについて」が記された用紙を配布した。

「来週の金曜日はグラウンドでソフトボールです。男子で野球道具がある人なら持参してかまいません。それで…」続けて説明しようとした竹田が生徒たちの反応を目視していると体格の良い男子の手が挙がった。

「はい、森さん、何か?」

「あ、あのっ、クラスマッチの選手の男女の内訳で、男子は5人までにす、することって、ど、どうしてですか?」

芸術クラスは男子が3人なのでバランスを取るためです」

 皆川慶彦ヨシヒコにリアクションなく~殆ど女子の芸術クラスとソフトボールなんてお遊びだな~それは森伸治キャプテンも同様で~出番は無い~と思っていた。


 その日の放課後、少し雨でぬかるんだ場所を避けながらグラウンド周囲を軽くランニングして部室前にグラブを取りに戻ると、団扇で扇ぎながら広津部長が姿を見せた。

「…聞いたろ、クラスマッチの件」

「オレら出番ないでしょ、向こうが殆ど女子だし」めんどくさそうな皆川エース

「まあ普通ならな…。お前らの出番はないよな」

「…普通じゃないんスか、芸術クラスですよ」

「仮に凄いヤツがいて、お前らが負けそうになったら?」

「あり得ないですけど、途中からオレらが駆り出されるっしょうね…」と言う皆川エースに広津がソフトボールを渡した。

「来週までにソフトの投げ方で練習しとけ、念のためよ」

「…練習?」

「ルール的には女子だからスローピッチだけど、男子同士ならファストピッチもイケるようにしたから」


 単なる体育の授業なのに、こんな手の込んだ準備をする必要が? いつになく丁寧に説明する広津に何やら違和感の皆川慶彦ヨシヒコだった。

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