第2話 体育館だけの体育の時間に飽き飽きしていた麻矢が

 桃園中央高校モモコウの野球部で遊ぶということが叶わなかった山鹿麻矢やまが あさやだが、美術専攻で学んだことを部活での作品づくりで表現していくことが楽しくなっていき、次第にコンテストに入賞することで励みになり、土日も休みなく部活動に勤しむ、ちゃんとした高校生になった。

 そんな中でスキルを高めていき、芸術クラス美術専攻3期生の大和剛先輩が1浪はしたものの見事に日本の美術大学の最高学府にして最難関の東京藝術大学ゲイダイに合格したことで、これまで楽な道しか歩まなかった麻矢に初めて挑戦チャレンジする気持ちが芽生えた。

 特進クラスも設立から7年目で国公立大学や有名私大への進学率を徐々に上げており、ともに進学実績を誇るような存在になってきたクラス同士がソフトボールながらクラスマッチとは野球大好きな麻矢にとって渡りに舟だっだ。


 このクラスマッチ、前回の体育授業の時に広津先生に麻矢がぼやいたのがきっかけ。

「ソフトボールなら女子たちでも」と好反応があったのだ。

 芸術クラス3人の男子のうち、林原達郎は普通に運動ができるので体育の実技は自然と麻矢とのコンビになっていたが、市村雅治は苦手で体調が悪いと休む日もある。

 英語の授業中、梅雨つゆ入りを告げるような雨粒がときどき叩く教室の窓から空を見上げながら~来週は晴れてよ~と願っていた。

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