0521 魔王ドロズニンの事
議事堂の一室を借りた俺たちはすぐさま捉えた男への尋問を行った。
「さて、シブエルとか言ったかな?
洗いざらい吐いてもらおうか?」
しかしその俺の言葉に捕縛タロスに縛られたままの男は逆らう。
「間違えるな!俺の名はシブレル様だ!
貴様らに話す事なんぞない!」
細かいこたぁ、どうでもいいんだよ!
俺はそいつを冷たくあしらう。
「あ、そう言うのいいから?
とにかく俺の聞く事だけにすぐに答えろ?
いいな?」
「何を馬鹿な事を・・うぎゃ~っ!!」
すかさず俺は身動きできないその男に電撃を加える。
「いいか?
無駄口はやめろ!
俺の聞く事だけに答えろ!」
「だから貴様の言う事・・・あぎゃ~」
「いいか?何回でも言うぞ?
余計な事を言うな!
俺の聞く事だけに答えろ!」
「誰が・・・あぎゃ~っ!」
この会話が数回繰り返されると、さすがに男は大人しくなる。
「わかった・・・
話す・・・話すから・・・」
「ではまずはお前の所属と役割を答えろ!」
俺の質問にようやく男が話し始める。
「俺の名はシブレル。
魔王ドロズニン様の部下で、デニケンとの連絡役を務めている。
務めていた・・・
デニケンに魔王様の指示を伝え、報告を受けて魔王様にお知らせする役だ。
そして場合によっては奴を処分するようにとな」
「デニケンの魔王軍での役割は?」
「奴はノーザンシティを掌握して魔王様に献上するはずだった。
そしてつい3年ほど前までそれは順調だったと言っていた。
それが最近になって手詰まりになって来たと言って来た。
そこで魔王様はノーザンシティの掌握を早めさせた所、奴はシモンの息子のシャルルさえ見つかれば、すぐにそれが可能だと言っていた」
「シャルルを見つければ?
それはなぜだ?」
「それは・・・・何でもデニケンが言うには、その息子には使役物体魔法の重大な秘密が隠されていて、それさえわかればノーザンシティの掌握は容易いと言っていた。
だからそいつが見つかるまでは魔王様に待って欲しいと・・・」
なるほど、ここまでは大体こちらの予測通りだ。
「それで?」
「しかし結局シモンの息子は見つからず、奴は焦って理事会の掌握をするために実力行使をして理事会を乗っ取る事を画策した。
その結果がこのざまだ」
「なるほどな、大体事情はわかった。
では魔王とやらの居場所を言え!」
「それは・・・」
言い渋る男に俺はすかさず電撃を加える。
「あぎゃ~っ!」
「何回も同じ事を言わせるな!
いいか?素直に俺の質問に答えれば、命の保証はしてやろう。
しかし答えないなら、もはやお前の命はないと思え!」
「わ、わかった。
魔王様の居場所はこの町の北のイズールだ」
それを聞いてユーリウスさんがシブレルとやらに問いかける。
「イズール?あの町に魔王とやらがいるのですか?」
「そうだ」
「知ってますか?ユーリウスさん?」
「ええ、その場所ならわかります。
しかしあのような場所に住んでいるとは・・・
ごく普通の町ですが、それの一体どこにそんな者がいるのか・・・」
戸惑うユーリウスさんを見て、俺はシブレルを再び問い詰める。
「おい!
本当にそんな場所に魔王とやらがいるのか!」
「いる!その町のマイヤーがドロズニン様だ!」
「マイヤーさん?
確かその人はイズールの町長のはずですが・・」
「そうだ!ドロズニン様はそれを隠れ蓑にして世界を動かそうとしておられる!」
「なんですって!」
ユーリウスさんが驚くが俺は先を続ける。
「なるほど、それで?
シモンさんとナスカさんを殺したのはその魔王ドロズニンとやらなのか?」
「そうだ!
奴らはマイヤーが魔王様である事に気づき、さらにその計画までも嗅ぎつけた。
そこで魔王様はデニケンに命じてシモンを奴隷として売り飛ばし、御自分で始末をした。
そしてナスカ・ゴロブも同様に自らの手で処分したのだ」
その話を聞いてシャルルと男爵仮面が納得したようにうなずく。
「それで父さんを・・・」
「うぬっ、ナスカもそれでやられたのか!」
「そうだ、しかしまさかシモンの奴が生きていたとは魔王様も誤算だったろう」
忌々しそうに答えるシブレルに対して俺はせせら笑いながら話す。
「ふん、そうだな?
それでは早速その魔王とやらを捕まえに行こう!
ユーリウスさん、案内をお願いします!
おい!シブレルとやら!
お前も案内人だ!
命が惜しければ俺たちを魔王の所まで案内しろ!
ノーベル理事長、我々はこれからすぐさまユーリウスさんと一緒にイズールの町へ行きます。
後の事はお任せいたします」
俺の言葉にノーベル理事長がうなずいて答える。
「承知しました。
ホウジョウ子爵、御武運をお祈りしております」
「はい、ではみんな、行こう!」
「はい、承知しました」
エレノア以下、その場にいた全員がうなずく。
俺たちはすぐさまイズールの町へ向かった。
ユーリウスさんの案内でイズールの町へ到着した俺たちはシブレルの案内で魔王の下へ急いだ。
「ではその町長宅が魔王の本拠地なんだな?」
「そ、そうだ」
そこは確かに普通の町長の家としては大きかった。
それに塀は高く、上の方は鉄柵で槍状になっていて、侵入は難しそうだった。
しかし俺たちは正面から堂々とその邸宅に入る。
正門にいる二人の門番たちにシブレルが話しかける。
「町長に報告に来た」
「これはシブレルさん、こちらの方々は?」
「私の知り合いだ。
町長に一緒に会うために来た」
「はい、どうぞ」
門番はシブレルを疑わず、俺たちを通す。
しかし俺はここで眠りの魔法を唱えて門番を眠らせる。
「これで門番はしばらく目を覚まさないだろう。
ポリーナとヴェルダ、それにエトワールさんはここで見張り番をお願い。
ポリーナ式針鋲陣を敷いて、外に逃げて来る奴がいたら全部捕まえておいて!
それともちろんこれから我々がここに戻るまでは誰もこの屋敷の中へ入れないで」
「承知しました」
「ええ、わかったわ」
そう返事をすると、ポリーナはすぐさまポリーナ式針鋲を、エトワールさんは警戒用の人型タロスと鷹型タロスを生成した。
うん、さすがこの二人は頼りになる。
これで外の事は万全だろう。
さあ!いよいよ魔王の下へ殴り込みだ!
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