第43話 愛の交換

 窓の夜景を見とれている愛菜の後に真一郎が近づく。彼の手は愛菜の肩を抱きやがてその手は移動し、服の上から彼女の乳房を包んでいた。


(あっ……)

「綺麗だねぇ、夜景が…」

「はい。とっても」

「君もだよ……」

「そんな。真一郎さん」

「満月にセックスをすると、感度が高まる話って知ってるかな?」

「いえ……」

「では、今夜試してみるか」

「恥ずかしいです……」


「うふふ。でも愛菜ちゃん。ここまてきてしまったね」

「はい」

「後悔はしていないね」

「はい。もちろんです。真一郎さんとなら……」

 愛菜は、彼が次の言葉を聞かないうちに抱きしめられていた。

「今夜は離さないよ」

「あん、嬉しいです」


 抱き合いキスし合う二人の窓の外には、美しい夜景がキラキラと光っていた。地上から高層に位置するその部屋を誰も覗き見ることができない。真一郎は部屋の照明を消した。ベッドの枕元にある小さな灯りだけが妖しく灯っている。


 窓際で夜景を見ながら寄り添う二人……。

 真一郎は窓の外の景色を見ている愛菜の背中を抱きながら、話しかける。


「君はあれの経験があるの?」

 しばらく間を置いて愛菜は恥ずかしそうに口を開いた。

「あっ……はい」

「それはよかった」

 愛菜には何が良かったか分からないが、大体の想像は付く。

「愛菜ちゃんを脱がせたいな。そのままでいいから、動かないで」

「えっ? あっ……はい」


 その言葉の通りに、真一郎は愛菜の身につけているベールを一枚一枚剥がしていった。彼女の着衣は、するすると彼の器用な手で床に滑り落ちていく。


 珍しくドレスアップした、大人っぽいアシンメトリーなドレープ・ドレス。お気に入りのブレスレットが腕から外されていく。ネックレスやイヤリングも外され、彼女が身につけているものは香水だけになった。


 耳たぶに少しだけ付けた「愛の香り」……これを彼は気に入ってくれるかしら、と心配になる。


「あとで激しくエッチするとき、大切な物が壊れちゃうからね」

「優しいですね。とっても」

「そうかい」

 こんなところにも気を遣ってくれる彼がますます好きになっていく。

「可愛い下着だね」

「嬉しいです」


 愛菜は今日の為に用意してあった下着を褒められて嬉しかった。お洒落で可愛くて、少し大人でセクシーな下着を探すのに苦労した甲斐があったと思った。ランジェリーのお店を覗きながら、もしこういうことになったら、真一郎さんは喜んでくれるかしら?


 ブラジャーは、ショーツは? 等と考えるのは女にとって楽しい。

(女の子はこういうところに気を遣うのよ。それを褒めてくれて嬉しい。さすが……)


 上着が落ち、ブラジャーのフックを外されやがてエレガントな下着も床に落ち、それらは薄いピンク色に染まり、花のように艶やかに床で花と乱れ舞っていた。


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