第21回 競輪GP・2022の行方は?

 さて、お話は前回の続き。調という風に書いたが、これは競輪祭GI終了後、レースをした選手が⑤松浦選手しかおらず、他の選手の調子が確かめることができないから。

 そのため、⑤松浦選手を除けば、他の選手は競輪祭GIでの成績や調子を参考にするしかない。無論、出場する選手は、GP制覇を目指して調整してくる。が、その調整の結果は、もう競輪GPを走って確かめるしかないのだ。


 GPを走るメンバーで、11月の競輪祭GIの決勝まで勝ち進んだのは、郡司選手、新山選手(彼が優勝)、守澤選手、平原選手、新田選手の5名。

 決勝までの勝ち上がりと、決勝戦での内容を加味すると、調子が良さそうな選手は、私の中で二人いる。それが、今年のGPで②番車の郡司選手と、④番車の守澤選手だ。


 競輪祭を優勝した③新山選手や、⑦新田選手もいる。しかし、先述の通り、北日本ラインの先頭を走る③新山選手の使命は、北日本ラインから優勝者を出すこと。そこに彼自身が含まれているかと言うと、残念ながら含まれていないと思う。今年のGPにおける北日本ラインの並びは、③新山選手―⑦新田選手―④守澤選手―⑧佐藤選手となっている。


 今回のGPでは③新山選手―⑦新田選手の並びの二人だが、競輪祭・決勝では全く逆だった。


 競輪祭・決勝では、並びが『新田選手―新山選手』のかたちだった。そのときも、北日本ラインは4人で並んでいた。

 GPで新山選手と新田選手の並びがなっているのには。それは、『恩返し』だ。これは記念競輪や特別競輪などの決勝ではよく見かけるパターン。


 ラインの先頭で走った選手が、番手後ろの選手を優勝させたら(優勝できなかった場合でも)、次のビッグレースではで、並びが逆になる。競輪祭GIでは、新田選手が先行し、番手の新山選手が初のGI優勝。今回、12月30日の競輪GPへとやって来る。


 この恩返しは、競輪の持つ『特性』とも、『特異性』ともいえる。単騎一人でレースをすることもあるのだが、レースの基本はラインを組むこと。それが『競輪』だ。

 これは、完全に個々の選手の戦いになっている競馬、競艇、オートレースでは見られない光景であり、この『特性』が競輪の予想の難しさにも繋がっている。


 さて、ここからを予想する。③新山選手は、ラインから優勝者を出すことが使命という前提ならば、何が何でも先行のはず。しかも、平塚競輪場はバンクの特性上、かなりスピードが出る競走路バンクだ。先行する選手(ライン)が有利になる。そして、北日本4人が先行してしまえば、他の選手に出番はない。これは前回も述べた通り。


 そこで、他の選手たちがどうするか?だ。ここが焦点だろう。そして、ここで考えるべきは、単騎の3人と、近畿コンビが、北日本ラインをするのか?これが鍵になる。


 ③新山選手は全力で先行するとして、その番手後ろの⑦新田選手の位置が可能性がある。


 競輪は、ただ単に脚が速ければ良いわけではない。走りながら駆け引きをする。

 だが、それは他の公営競技とは異なり、文字通り使他の選手をブロックしたり、さばいたりする(※落車や車体故障をさせるのはダメだが)。


 これを考えたとき、新田選手が他の選手に可能性がある。本来、先行型の新田選手は、自在型や追い込み型の選手に競られた場合、競り負ける可能性がある。これは新田選手の脚質上戦法上仕方ない面もあるが、そこを狙ってきそうなのが⑤松浦選手と、⑥平原選手だ。

 似たような戦法を取れる①古性選手は、⑨脇本選手の番手なので、その可能性は低い。⑨脇本選手も先行型の選手なので、競り合いをするのは本来のではない。しかも、相手は4人いる北日本ライン。4人対2人では、⑨脇本選手の本来の戦法脚質からも異なる。


 ⑤松浦選手か、⑥平原選手の⑦新田選手の位置を奪いに来た場合、近畿コンビと地元・②郡司選手は、その後方で待機するだろう。

 ⑦新田選手の位置が狙われそうなタイミングは、残り1周に差し掛かる前後だと想定。近畿コンビと、②郡司選手は捲るタイミングを計り、ラスト1周で勝負を仕掛ける。⑦新田選手の位置を奪い合う隙を狙い、捲り追い込みをかける。ここで脇本選手がを取り戻していれば、近畿コンビと、それに続きそうな②郡司選手に勝機ありだ。


 ただ、⑨脇本選手も先行型選手の意地を見せて、打鐘ジャンのタイミングから仕掛ければ、単騎の選手たちも、そのタイミングを逃さないし、逃したくないだろう。そうすれば、北日本ライン4人を一気いっきに後方へ追いやれる。そうなると、北日本ラインは不利になる。近畿コンビに、単騎の選手が3人全て続いてしまえば、実質的に5が自然と形成され、③新山選手はそれを捲らなくてはいけない展開になる。4人対5人では、多勢に無勢。北日本勢は散るだろう。


 予想パターン①:北日本勢が勝利!

 ③新山選手の意地の先行で、他の選手に出番が無い場合。または、⑦新田選手も自分の位置を死守した場合。

 2車単は、⑦新田=④守澤のBOX。

 ⑦新田選手が優勝なら、初のGP制覇達成となる。さらに、1990年に競輪GPを含めたグランドスラムを達成した滝澤正光さん(引退)以来、32のGIとGPを全て制覇する形の『グランドスラム達成』になる。また、④守澤選手が優勝なら、前回のタイトル『4年連続④番車』の優勝となる。

(※⑧佐藤も復調していることを想定するなら、⑦④に⑧を加えるのも良し。ちなみに、⑧佐藤選手は、今年4月の平塚記念GⅢの優勝している)

 3連単は、⑦④-⑦④⑧②-①②⑤⑥⑧⑨(財布に余裕があれば、3着は『全』でもいいかも)。


 予想パターン②:北日本勢、分断!

 ⑦新田選手が、③新山選手の番手を奪い合う展開になれば、近畿コンビにチャンスあり。ラスト1周で⑨脇本選手が捲りきれば、⑨=①のBOXに、地元・②郡司選手と、混戦でも強さを見せる④守澤選手を含めた①②④⑨の2車単BOXで(※逆に⑦新田選手の位置を狙いそうな⑤松浦選手、⑥平原選手は、混戦に飲まれるか、競り合いで脚を消耗してしまう可能性あり)。


 予想パターン③:脇本選手の意地の先行!

 北日本4人が先行となれば、チャンスがない他の選手たち。そうなるくらいならと、⑨脇本選手も先行型の意地を見せて、③新山選手に挑むはず。⑨脇本選手が先行すれば、透かさず⑤松浦選手か、⑥平原選手が、⑨-①(近畿コンビ)の後ろ、3番手ないし、4番手を狙う。②郡司選手もこれに続くだろう。

 あとは⑨脇本選手の復調具合次第。脇本完全復活なら、⑨=①の軸でOKかな?こうなると、北日本勢は見せ場は無しになる。

 2車単は、①②⑤⑥⑨のBOX。予算がある方は、このまま3連単も、この5人のBOXで良いかも。


 予想パターン④:4年連続④番車!

 これは④守澤選手が優勝する前提で。このケースだと、かなりの混戦になっていると予想。④守澤選手を優勝で、2着に②郡司選手、⑧佐藤選手、⑤松浦選手、⑥平原選手。2ここに、近畿コンビを加えるかは、近畿コンビの復調具合と、それをお客様が期待するか次第。


 北日本4人に対して、他の選手がが鍵となる今年の競輪GP。

 それ次第では、つまらないGPになる可能性もあるし、逆に歴史に残るようなGPになる可能性もあり。12月30日、運命の瞬間を待つしかない。




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