落ちるもの、ひろうもの

バブみ道日丿宮組

お題:弱い鳥 制限時間:15分

 毎朝思うことがある。

 どうして鳥が落ちてるのか、と。

「……」

 木の棒を拾い、つついてみる。

 反応はない。いつもと同じ死体だ。

「……」

 落ちてるのが家の庭ということもあって、シャベルを持ってくるのは容易だった。

 穴を掘り、鳥を埋める。

 何十回と繰り返してきた工程。

 しかしまぁ……だんだんと穴を開けるスペースが減ってきたな。

 最初に埋めた穴というのは認識できない。具体的な場所を間違えるのは簡単だろう。今ならはじめに埋めた鳥じゃないのが発見しやすい。

 問題はそれがいったい何日目なのか、だが。

「……よし」

 とりあえず埋葬を完了したので、学校に行こうと思う。

 どうせ帰ってきたらまた鳥の死体があるからと、近くにシャベルを刺した。盗まれることはないだろう。敷地に勝手に入るのは泥棒や強盗。そのどちらかしかない。

 最近では泥ママというのが話題であるらしいが、シャベルを盗むようなママはいないだろう。

 むしろ鳥の死体を投げつけてきてるのではないだろうか?

 母さんたちは気にしてないというか、死体を目にしてない。

 言ったら言ったで、なにかしてくれるのだろうか?

 監視カメラを庭につける? なんのために? 盗まれるようなものは家庭菜園ぐらいだろうが、飽きた母親によって雑草ゾーンへと変貌してる。めぼしい野菜なんてものは存在しない。

 導入したいとはまず言わない。

 なら自費で簡単なものをつけてみるか。どうして鳥が落ちてるのか、原因がわかるかもしれない。

 最寄り駅につき、電車に乗り、空いてる席に腰を下ろす。スマホを取り出して、監視カメラを通販サイトで調べ始める。

 結構値段の上下が激しい。

 学生の身分からすると、高いのは買えない。

 どうしようもないことで高額を使うのは賢いとはいえない。

 ならと、大体3000円くらいものを購入。

 届くのは明日らしい。学校から帰ってきたら届いてるかもしれない。

 

 それにしてもーー。


 鳥の死体なんて毎日見るものなのだろうか。

 毒物が家にあるのか? 鳥が死ぬような毒物が人間に害がないというのはおかしな話である。

「……」

 ついでに調べることにした。

 電車は1時間かかる。調べごとや読書に好都合な時間だ。

 結局のところ、学校のある駅にたどり着くまでに答えは見つからなかった。

 大人しくスマホをしまい、学校へ歩き始める。

 普通に生活してる状態でも死体というのは遭遇しないものだ。人間の死体だってあまり見ない。

 弱い鳥、強い鳥。

 謎は深まる一方だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

落ちるもの、ひろうもの バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る