千日戦争。@森田薫
眼鏡に張り付いてるように、どこを見ても、変わり映えのしない景色で今日も憂鬱でがっかり。
毎日はふわふわした幻みたいで、生きてるのか死んでるのかわかんなくって。
生なんてとっくに終わりたいのに。
死なんてずっと始めたいのに。
花の香りが散るように呆気なく終わり、また惰性の日々が何度も何度も始まって。
数えて束ねた想いは、いつも指の隙間を通り抜けて、手を伸ばしても指の先にもかからなかった。
でもI GET YOUR BABY!
今過去一輝いてるよ、私!
なんてたってギンギラギンだよ、私!
さりげなくなんて全然出来ない!
この憂鬱な世界を、私のやり方で踏み潰してやる!
Na、na、No──w!!
「アンタもそう思うよね! 円谷華ぁぁッッ!!」
「何の話よ森田薫ぅッッ! なッ!? 躱したッ?! 速いッ!?」
「あっはははっ! この世界は私のものなの! たかが贋作なんかに私への愛が! 負けるわけなんかない! 無駄無駄無駄ぁぁぁ! そんな動きじゃって危な!? 足技と剣なんてずるいじゃん! って斧!? 銃?! 無茶苦茶だよ!!」
華イチは空に浮かぶ様々な武器を用いて、私に抵抗してきた!
近づけない!
スピードとパワーは私の方が上なのに!
こいつ暗殺者か何かなの?!
意味わかんない!!
あははは──ッ!!
「森田薫! あなたが煽るからでしょう! それに何なのよそのスピード!! わたしが外すなんて!!」
「あははは! 知らなーい! というか、そんなにトラウマワードだったの! 私にとっては当たり前過ぎて! そんな怒るなんて! 知らなかったよこのクソビッチ!!」
「言いたければ好きなだけ言いなさい! わたしは未來を掴むためにここに来たのよ! そんじょそこらの想いじゃないわ!」
「それが重いし迷惑だって言ってんの! 姫から絶対切り離してやるからッ! アンタの未來はここで終わるの! 柏木くんも絶対迷惑してるからッ! また追い込む気なの! 死ねよ!」
このマサカリ盾になる!
まあまあ使えるじゃん!
もちろん攻撃にも!
うりゃぁぁぁああ!!
「ッく?! そんなはずはないわ! 裕くんは! 大人の裕くんはっ! わたしを可愛いって! 好きだって! 愛してるって! 言ってくれたのよ!!」
「はっ! それアンタにじゃないから!」
「わたしよ!」
「これだから拗らせはやなんだよ! ほんとどうかしてる! 一回ダイブして脳漿炸裂でもして脳髄全部垂れ流してきなよ!!」
「何回も飛んだわよッ! 飛んで! 飛んで! 回って! 巡って! ようやくここまで届いたのよッ!!」
「それが何ッ? 苦労したとでもッ? はっ! どうだかッ! でもあいにくね! 私なんて永遠の──危なッ!?」
槍投げてきた!? 正確過ぎる!!
「永遠の15才とでも言う気かしら! それはわたし達には笑えない冗談でしょう!!」
「冗談? はぁ? 仕方ないじゃーん! 柏木くんがそうしたいって閉じ込めたんだしー? 捨てたアンタなんかと違ってー? あーはん?」
「死になさい! シャシャシャァァア!!」
今度は弓!? しかも連射!? こいつ本当なんなの!!
「うおぉぉッ!? ちょっと! さっきから! うわッ!? 流れたらどうすんのよ! 柏木くんの赤ちゃんなんだよ! わわっ!!」
脚ばっか狙って! 先に機動力潰す気だなこいつめ!
「刹那の停滞を望んで描いたこの世界は! 木犀花と違って戻したり進めたり出来ないわ! だから安心して殺されなさい強姦魔! 精神しか死なないわ! 多分! シャァァア!!」
次は投げナイフに出刃包丁!?
「それ死ぬって意味でしょ! 怖っ!? 危なッ!? 全然安心できないやつじゃん! それにまだ私柏木くんに告白してない! 出る方法考えてよ!! このポンコツッ!! 死ねよ!!」
「誰がポンコツよ! だいたい彼女持ちにそんなことしないでッ! それにそのお腹! それを盾に無理矢理結婚式でも挙げる気なんでしょう!!」
「ッ!?」
なんでそれを!? ってそりゃバレるよね! あははは!
「そして目の前で死んで! 裕くんの中でいつまでも生き続ける気なんでしょッ!! そっちこそ重いし迷惑だから!!」
「そ、そんなヤンデレみたいなことしないから!!」
絶対トラウマになるじゃん!! そこまでしないよ! 可愛く着飾って告白するだけだよ!
「動揺してるじゃない! 大方、ののの母にでも頼んだのでしょう! 派手なドレスとか!!」
「何のことかわかんないカナー!」
それはそうだけどとってもシンプルなガーリーなやつだよ!!
このままじゃジリ貧だよ! 何かないか、何か──あった! モーニングー! スター!! 姫ごめん! 死に晒せ! そーりゃぁぁああ!!
「そんなことさせな──あぐッッ!?」
「ヒィーット! あっはは!! わっかんないって言ってるでしょ! 決めつけないでよ! って投げ返すのナシだから!? いだッッ!?」
「貴方の物語は! もう随分と昔に終わってるのよ!! 裕くんのトラウマになんてさせないから! シャァァア──!!」
今度は青龍刀!? しかも二刀流とか!
近接なのか遠距離なのか、どっちかにしてよ!!
「危なっ!? トラウマなのも終わってんのもアンタでしょ! この生霊め! 姫から出てって! 天魔降伏! 死すべし華イチィィ───!!」
「ぐっ!? ただのパンチじゃない! そんなカオスな世界観に巻き込まないで!」
「それアンタが言う!?」
こんなアナザーなディメンションに巻き込んで! そもそも問答無用でこんな異次元空間へ飛ばしたのアンタじゃないッ!!
「はっ! 千日だって戦争してやるんだからッ!! かかってこい! シャーんなろー!!」
「何のことか知らないけれど! ここまできて千日なんてごめんだわ! それに誰が生霊よ!! 貴方こそ亡霊でしょう!! 喰らいなさい!!」
今度は手裏剣ッ!? また足を狙ってッ!?
「いぎッ!? い、今更ッ! 知ってるよそんな事!! この根暗アバズレ女!!」
「貴方なんかあざとい日陰女じゃない!!」
今度は小さな輪っか!? 投げてきた!? うわっ!!
「しつこいしッ! あざとくない! ただの謙虚だっちゅーの!!」
「古いのよ! 駄乳振り回して! 裕くんに色目使わないでくれるかしらッ!!」
「そんな古くないし! それにだいたい柏木くん、ほんとはののちゃんみたいな貧乳好きだから意味ないし!」
だって初恋の私、今のあの子くらいだったしね!
「……え?」
「…ん?」
何その鳩、豆、BAN、うっ? みたいな反応…武器消えたし…ああ、そういえば…そうだったよね? 自分で言って思い出したよ。
そんなことあるある。
懐かしいなぁ。じゃーんって挟んだらびっくりして泣いてたよね。可愛かったなぁ。
罪悪感で即死ダイブしたなぁ。
あははは…。
いや、今がチャーンス!!
「い、い今は違うもん! 大きいの好きって…いえ…そういえば言ってな──ぐはっ!? 裕くんにも殴られたことないのに! 痛いじゃない!」
「ババアがもんとか言うな! 痛ッ!? ちょっと! おっぱい殴らないでよね!! アンタみたいにおっきくなっちゃうじゃん!」
「ならないし大きさもババアなのも変わらないでしょう!」
「違うから! アンタと違ってふかふかのお餅だから私!!」
「張りがない言い訳でしょ! それに比べて! 下に長くならないために! 未来で虜にするために! 大胸筋をいじめてきたのわたし!!」
「姫に何させてんのよ! 通りでいつもと何か違うと思ったらお前かッ!! 妙な自信つけてたのはお前のせいかッ!!」
「美の努力は25歳までで違ってくるのよ! 今世が過去一輝いてるからわたし! お子様な貴方は知らないでしょうけど!」
「あ! それ言ったなッ!? こんのぉおおライトニング──」
「だから! よくわからないそれやめなさいって言ってるでしょう!! だいたいあなたが毒で銀でしょうッ!!」
「結構わかってんじゃんッ!」
「知らないわよ! けれど! そんなに言うのなら! ダイブするかのように! 顔から地面に落としてあげるわッ! ギャラクシアン──」
「やっぱ知ってんじゃんかッ!! うりゃぁぁぁああッ!!」
そうして、私達は力尽きるまで光速で殴り合った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます