未来は僕の手の中だ!@柏木裕介

「裕介の気持ち…俺なりに考えたんだ。自分の気持ちも…ほら、よくあるだろ? 幼馴染がギクシャクする…話。だから…さ?」


「……」


 さ、じゃねーよ。


 なんで…そうなるんだ?


 頭おかしくないかこいつ…


 二人揃って幼馴染に告白する。


 ねーよ。そんな双六マス。


 なんで巻き込むんだよ。


 普通サイコロ一個だろが。同着とかないだろ。アホか。


 それに親友でもないだろうが…


 というかフューチャーダイヴ&バタフライエフェクトのせいでイベントが早まったんだよな?


 今実質高校二年秋くらいの関係でいいんだよな? NTR抜きの…いわば純愛ルートってことだよな?


 ……お前たちでしっぽりすれば良いだろ?



「華には悪いけどさ…やっぱり、裕介とちゃんと向き合ってさ。二人で告白したいんだ…例え…いや、俺が納得したいんだ」


「………」



 うっせー! 過去サイコ野郎! ちょっと待ってろ! サクサク行くな! 今考えてんだから…


 これなんて答えたら未来帰れんの?


 僕の過去イベがギュッと圧縮されてるってことでいいんだよな?


 よし……僕はリスタートしない。


 リプレイもいらない。


 だからいつもと同じことをする。


 一番下まで掘り下げる。


 フラットにしてから検証する。


 グシャグシャに壊してから組み立てる。


 ……華が告白した…おそらく…この病室での出来事が引き金だろう。その後こいつの元に走った。


 そして調教に拍車がかった。


 そして本当の気持ちに気づいた。


 しかし美月が好きだと言っていた。


 だから身辺整理して欲しい。


 ということか。


 そしてこいつは僕を巻き込んで告白したい。後腐れなく付き合いたい。つまり、こいつはこいつで華の気持ちを疑っている…


 つまり? 今世はもしかして…ピュアラブエンド?



「森田さんは?」


「え? ああ、隣のクラスの? 彼女がどうしたんだい?」


「いや…」



 華ともめているように見えていたのは…あれは…調教変態主人公を求め争う件じゃなかったのか…?


 いや、裕介逆に考えろ。こういう時は逆に考えるんだ。思考を逆転させるんだ! 発想を転換させるんだ!


 つまり…寝取り。


 いやちゃうちゃう。


 僕がクズっちゃう。


 でもさっき森田さんに酷いと言われたばかりだしなって酷くねーよ! 何ビクンビクンして……あれは調教中じゃないのか…?


 まさか…まさかのNTRリベンジルート?! こっちがクズ主人公ルート?!


 ないないないぞ! 僕にそんな趣味はねーよ!


 お、おいタイムリープ! お願いだからせめて赤本くれや! こんな問題、過去問にねーんだよ! 志望校違うくらい違うだろ! あと時期くらい整えろや! あいつに告ったの春だろうが!


 うおぉぉぉ頭を回せ回せ柏木裕介ぇぇ! 名キャッチコピーを思い浮かべるようにぃぃぃ!


 Be what’s Next! 近い! いや違う!

 マジキャッチじゃないんだよ!


 ただのYESNO枕でいいんだ! いや違う!


 そうだ! 赤か青でいいんだ! 導火線だ!


 どっちだこれ! 未来が爆発しないのどっちだ!


 どっちなんだい?! おい!?



「──からさ、舞台は俺に任せろ親友! ははっ、じゃあな!」


「………ぇ? ぁ、あ、ちょ待てよ! ………行っち…まった………」



 時間…切れてもた…シンキンタイム短いだろが! 結構いろいろ考えてる最中だろが! 僕の未来がかかってんだぞ! 殴ったろか! このクソボケカス!


 いや、今の僕は虚弱だ。こっちが折れる。


 というか…そもそもそんなことしなくて良いんでない? 


 というか、ファンクラブが黙ってなくない?


 つーか、誰がそんな茶番やるかってんだ。


 バカか。


 それにしても…良い顔して何言ってんだあいつは…サイコかよ…足の心配もっとしろや。


 しかし…いやに…自信たっぷりだったな…? 


 そりゃあ両思いだからだろうけど…


 あのサイコでプライドの塊が…?


 ……。


 ……もしかして……公開処刑したいのか…? 華と組んで…? あの凄惨な…過去のように…? 中学生で…NTRを抜いて…考えうる悲惨な…トラウマものの出来事…とは…


 ……ふっふっふっ…


 はぁーはっはっは────!!


 ああ、いいぞ! わかったぞ!


 謎は解けた!


 この学生時代の価値観がすっかり抜けていた!


 過去イベ煮詰めてNTR抜いてデザインしたらそうなるのか!


 やるじゃないかダイヴ&バタフライ!!


 これでタイムリープは撃破だろ!


 未来は僕の手の中だ!


 告ってやるぞ! これ嘘告だフューチャ────!!

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