未来なんて、死ねばいいのに。@森田薫
ゆるゆると、てくてくとは変わらないけど、キラキラな毎日に、昨日変化があった。
学校に向かう今日の朝日は黄色いもやもやだ。
まるできんきらきんだ。
さりげなくモヤモヤだ。
一度真っ白になって、世界が黄色いのだ。
そんな私に体育教師が挨拶してくる。
「今日は、早いな。おはようだ、森田」
「おはようございます。頑張ってみました」
「…早すぎないか? 目も充血してるぞ…無理するなよ」
「ッは、は〜い〜」
今朝は…いけない!!ユウ先生。でした。
TS美術教師設定でしたけど。
◆
今日からは学校に早く行くことにした。
私は体調を崩したと言えば、だいたい早くに学校を出れる。行かなくても良いくらい。
柏木くんのお世話はしたい。
だってせっかく病院に縛られて動けないんだから…あれ、これもしかして…もしかすると…これが…監禁の味ですか…? とても安心ですね…彼の所在がはっきりしてるなんて。なんて、なんて、なんて心が落ち着くのでしょうか。良い。
違う違う、良い意味で良い。
だから隔離ですね、隔離。
柏木くんのお家、お隣地雷ですし。
美術部の時も良かったけど、姫がいつも邪魔しに来るから、今回は入らなかった。
全ては三学期に…あれ…? 何か引っ掛かるな…何だろ…?
違う違うそこではないのです。
いろいろと観察しないと、ですね。このループ、急にいきなり違いすぎる。
それが、私と柏木くんにとってどうなのかが知りたい。
「聞いたか? 姫ちゃん、FC公式に認めたって。会員になったら見れる写真とか動画とかあるって」
「おお、ほんとかよ! おれ入るぞ! どこどこ!?」
「これ…円谷華オフィシャルファンクラブ『華たんしか勝たん』!」
「…名前…通ったんだ…うっそだろ…? 無理スジかと思ってたのにぃ…お、おい! やったな…!」
「ああ…! すげぇぜ! 新聞部、越後屋! やり…遂げたんだな!」
「いくか!」
「ああ! みんな!」
「「えっちごや! えっちごや! えっちごや! フュ───!!」」
「……」
越後屋…越後屋ノノちゃん。学年が一つ下の女の子。新聞部で、クセのあるタイプの姫の信者。
…可哀想に…お祭りにされちゃってるじゃん…しかもエッチなの嫌いなのに連呼されて。ワザとでしょ、男子。
公式…これ、姫がなんか動いてるってこと?
やっぱり変だ。学校のこんな雰囲気見たことない。姫のアクションもだ。
何か変わったのかもしれない。
昨日の姫の涙はなんだったんだろ…? お前には三好がいるでしょ?
この後姫初めじゃん、あの廃棄された神社で。
いや、あのカップルはどうでもいいの。毎回毎回どうでも良いの。
昨日の涙で殺意はどっか行っちゃった。
問題は骨を折る前と後。これは定期イベントになってしまった? 骨を折ってフラグを折った? でもその前にきっかけがないと、基本的には分岐しない。
それとこのボーナスは続くのかどうか。
続くのなら長く楽しみたい。
違う違う、柏木くんだ。
痛いだろうし、動けないのは可哀想だ。
ゆっくりゆっくり治りますようにぃぃ!
よし。
しかし…今回の件は…あの小学五年生で確定した過去に、それより過去に、戻れるのかどうか知りたい。
それより過去にはどうやっても戻れない。
あの金木犀のせいで戻れない。
しかも私と柏木くんの思い出を一切合切消すなんて…せっかく柏木くんが助けてくれたって言うのに…恩人の記憶ちょいちょい消しやがって…あの駄木が…
切り刻みますよ…?
秋は好きだけど、嫌いになっちゃいますよ?
私は…どうかどうか思い出して欲しい。
どうかどうかあの過去に戻りたい。
柏木くんとの過去に戻りたい。
未来なんて、死ねばいいのに。
◆
柏木くんのあの感じ…私のことをまったく覚えてない。
ちっ…あの駄木が…いっつもいっつも思い出をリセットしやがって…
あいつみたいなのヤンデレって言うんだよね。あーやだやだ。ホラーですよ、ホラー。呪いですよ呪いー。土地と時間と嫉妬の呪いだ呪いーあほかー。
でも大丈夫です!
まずはいつも通り、適切な距離感で距離を認識させ安心させてから瞬間的に強引に詰め寄る、ですね。
余所見をさせながらなら、なおよし。
あの駄木使うか。
この緩急でだいたい柏木くんの懐に入れます。入ったらこっちのもんです。エラシコです。違うか。チョロい、ですね。
……。
さっき過ぎった……デザイナー…シチュか…社会人…上司…OL…オフィス…夜遅く…観葉植物…硬い机…散らばる書類…投げ出された私の身体…なんか…もう少し…補強したい。
ぐぐりますか。
むむっ。
そうですか…ミスを叱られる…ですか。
柏木くん優しいから、それは盲点でしたね。私は基本ミスしないですし…あ、でも今回は初めてのケースか…
そのスパイス、アリですね。
ドジっ子か…デザイン出来るかな…
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