盗賊ギルド討伐
第9話このお婆ちゃんお口臭い
「ちょい、お待ち。こいつは、ブアイソウじゃ」
オイババはツバを飛ばし叫ぶ。
まさか、情報が漏れた。いや漏らしてはいたがここまで特定など出来ない。本陣に盗賊狩りの連絡員が、自分の十八番を奪う潜入をされたていたことに驚愕した。
「ヒィ、あの・・お婆ちゃん・・こ・・こわい・・・それに、このお婆ちゃん何かお口臭い・・ヒィ、無愛想なんて・酷い・グスングスン」
と大柄な男の後ろに隠れて、リスのようにオイババを覗く
(((かわいい!)))
「オイ、ババ、何てこと言うんだ。いい加減にしろ」
「「そうだ、そうだ」」
「あいつは盗賊が・・ウゥ、持病の癪がーーー」
「オイ、ババ、また都合が悪くなると、癪がってな。もういいぜ、サリアちゃん気にしないで仕事をするんだ。何かあったら俺たちに言うんだぞ」
コクコク「う・・ん・・有難う」
「本当に癪なんじゃーー誰か薬を飲ませて、さすってーーーーーー」バタン。
「今日も迫真の演技だな」
「「「ハハッハハハ」」」
オイババはこの日、自然死を迎えることになった。
「ところで、ギルマス、本当に盗賊狩りは来るんで?」
「サリア君」と促されたサリア(アリサ)は
キラ、と眼鏡を直して、バインダーを見ながら説明した。
「・・分析の結果、盗賊狩り・・とは・外道・・です」
ウンウンと頷く盗賊達
「盗賊狩りの外道は、皆様・・盗賊を襲うだけで・・今まで・・どこもにも仕官・・していません。それは・・何故か?」
サリア(アリサ)はここで一呼吸を置いた。
「それは・・強欲でもっと・・良い仕官先を・・望んでいたからです・・今回は公爵令嬢・・です。奴が見逃す訳ありません・・それも・・後、少し危ないところまで待ち・・現れ・・恩を着せ・・嫌らしく報酬の上乗せと・・公爵令嬢・・に・・求婚する」
オオオオオとうなられたが、自分の事を(外道とは心外・・ね)と思うが、外道の部分だけはあながち間違ってはいない。
☆約10分後
「・・ギルドマスター、羊(公爵令嬢)と先遣隊が接敵・・した」
「よし、盗賊狩りはよ?」
「まだ・・です」
「フォフォフォフォ、慌てることはないよ。皆、慌てない。慌てないよ」
・・・・30分経過・・・・
「盗賊狩りは?」「まだ・・です」
来るわけはない。アリサは盗賊ギルドマスターの横で通信士をしている。
「何、やってるんだ!オイババ、情報はちゃんと流したのかよ?いつまで床で寝ている。ええい、誰か、どこかに連れて行けよ!」
「クソ、状況は?」
「相手・・かなり強い・・お付きのメイドはカゲ・・護衛騎士・・大会優勝者・・ね。お姫様も、氷の魔法使い・・先遣隊苦戦中・・!」
「(ピピ)ピンクブロンド様・・入電・・音声切り替え・・」
「ちょっと、悪役令嬢はぬっ殺したの?まだ、バグは?バグ?捕まえた?」
「・・・現在、接敵中・・少し・・待つ・・ね・・良い女・・は待つの得意ね」
「キィーーここは盗賊ぬッ殺してラブラブチュチュイケ面ゲッチュランドなのよ。逆ハーメンバーで盗賊ぬっ殺さないと、あたし、女神の使徒になれないんだからね!バグが女神の涙を持っているんだからね!」
((何言ってるんだ??))
「そ・・それなら、剣のチョイス・・をしっかり、するべき・・王子は・・木のふもと・・でコクって・・ゲット?」
アリサ自身も意味が分っていない。令嬢文庫の定番の一つを述べてただけだ。
「そーよ、そーよ。あんた分ってるじゃない。とにかく悪役令嬢をぬッ殺しなさい。王様帰ってくるからね!分った?あっ、王子、ダメよ。あん、あん♡・・プツン」
「えっ・・」アリサは初めて何かに負けた気がしたが
一方、ギルマスは、かなり焦っていた。
作戦の第二段階、300人による包囲殲滅に移行すると決断した。
「前進よ、森を抜けて、街道沿いの平原に出て、羊を殺せよ!」
ズドーーーーーン
「「「何、遠くから爆裂魔法の音が」」」
(フフフフフ~~ン。対戦車地雷ちゃんの起爆荷重は~~~秘密だよ~~だけど、人がのっちゃって~も爆裂するかもね♪)
とアリサは心の中でロクでもない歌を歌う。
アリサは、全員に鎧が渡され、重装歩兵と化した盗賊は重いということを事前に知っていた。
「ヤクート一家全滅、ヨルム一家消息不明・・・その他、損害多数身動きできません!」
☆三週間前
「お婆ちゃん・・インク付きの袋・・ヤダ・・よ・・おイモに付く」
アリサは思った。情報が詳細すぎる。襲撃地点、日にち、おおよその時間まで分っている。まるで、誘い込むのが目的のようだ。なら、乗るべきだと判断した。
しかし、アリサにとって襲撃の場所が分ってれば。
事前に、襲撃地の領主と領地の調査が出来る利点があると判断。
襲撃ポイントの領主はマン男爵、盗賊のスポンサー、盗賊は一応、粗暴ながらもマン男爵配下の村では略奪は行わない。しかも、初めての共同作戦でいろいろ不具合が生じていた。
☆村の農家食料買い付け
「俺は、指の数しか数えられねえ。馬鹿にして、あんた、おつり誤魔化してねえか?」
剣をチラつかせて一触即発
盗賊の服をツンツン
「あの~私・・計算出来ま・・す」テキパキ、「・・誤魔化し・・ない」
「お、姉ちゃん助かる~これ、ギルマスに説明してくれるか?」
コクコク
☆資材の購入
「だから、言ってんだよ。こう、ピカッと光る鎧と剣で、身動きが取れるやつを20セット買えってギルマスから言われてんだよ」
「その説明では分りません」剣をチラ、「何だとーー」
服をツンツン、「あ・・の、それミスチルの鎧・・と剣で・・身動き出来る・・甲三種、軽装騎兵、歩兵用?じゃないです・・か?手付け金払って・・見本を借りて・・ギルマスさん・・に確認取るのが・・妥当」
「姉ちゃん助かる。ギルマスに会ってくれ」
こうして、ギルマスに顔を覚えられたアリサは、マン男爵の本村の[方]から来ましたで、潜り込めた。
そして、
☆食堂
「おら、姉ちゃん酌をしな」「イヤー」
ツンツン、「ギアスの親分さん・・酌婦のお姉さんが・・焼き餅やきます・・よ。ギアスの親分さんにお酌をするのは・・あたしだけ・・言ってた」
「お前はギルマスの・・そうか、そうだな。ハハハハハハ」
名は売れていった。
普通の盗賊一家ならば、地縁、血脈で、顔見知りしか入団できなかっただろう。
・・・・「私・・立派な・・盗賊になるのが・・夢、ギルマス、弟子入り・・させて」
「うむ、盗賊の道は重い荷物を背負って険しい坂道を登るもの。付いてこれるかよ?」
「は・・い、頑張る・・」
___________________________
「畜生よ、キツネ狩り場のギアス一家を街道に回せ、森を迂回だよ」
「・・ギルマス、森を迂回すると、1時間掛かる・・よ」
「構わない!」「うん・・」
しかし、ギアス一家は既に、アリサによって狩られていた。
アリサは通信をしたフリをして、騒ぎに紛れ、ゆっくりと壕を出た。
まだ、本部には盗賊が、30人くらいいる。
何やら箱を取り出し、線をつなぐ、そして鍵を取り出し、鍵を箱にさした。
「ふう、通電・・ヨシ、ファイヤー・・ね」
鍵をひねると
ズドーンと轟音と共に壕が崩れ、ギルマスは生きたまま埋められる結界になった。
ギルマスは最期まで、誰かにはめられたことすら理解出来なかった。
「集団装薬ちゃん・・仕掛ける・・時間・・いっぱいあった・・」
盗賊ギルド本部は壊滅した。
「戦は・・勝ってからやるもの・・しかし・・戦は不確定要素が・・多い・・ね」
アリサは勉強した。もし、公爵令嬢をぬっ殺すだけなら、成功しただろう。しかし、盗賊狩り捕縛というもう一つの目標を入れたので、異物(アリサ)を潜り込ませる結果になった。
「・・・目標に優先順位を付けるべきだった・・ね」
アリサは知らずのうちに、勇者の国のエドの盗賊の極意、潜入からの盗み(ぬッ殺し)仕掛けをやってしまっていたが、本人に自覚はない。
異世界から勇者の国の兵器・技術を召喚する少女 山田 勝 @victory_yamada
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