第8話 城山茂邪は完璧な人間⁈
『茂邪くん、どうしちゃったの?学年1位の茂邪くんが校長先生に噛み付くなんて、頭大丈夫?』
そう言って、彼女は茂邪くんのおでこに手を当てた。
その動作にモジャ様は急に耳が真っ赤になった。
モジャ様は自分のおでこにおいてある彼女の手を振り解いた。
そして、彼女に言った。
『わしの席はどこじゃ?』
彼女は不思議そうに窓側の一番端の席を指差した。
彼女は言った。
『茂邪くん、一体どうしちゃったの。わしってどこの時代の人?もしかして、次の演劇部の公演のために役に入り込んでるの?』
モジャ様はまた驚いたように言った。
『演劇部⁈なんだそれは、何か演技するのか』
彼女は言う。
『だって、茂邪くん演劇部の部長さんでしょ』
モジャ様は色んなことが気になりすぎて、彼女に尋ねた。
『わしの全てを教えてくれ』
彼女は得意そうに言った。
『城山茂邪、18歳、演劇部部長、学年1位で志望する大学は東京大学という噂。バイトは勉強に支障が出た為、バイトはしてない。それが茂邪くんでしょ』
モジャ様は彼女に言った。
『なんでそんなにわしのことを知ってるんじゃ?』
彼女は言った。
『だって、茂邪くんは転校してきてからラブレターの数は100を超える。そして、ファンがいてファンクラブもある。魅力的な男子の1人なんだよ。そんな私も茂邪くんのファンの1人なんだから』
モジャ様はがっかりした。
この国で普通の人になりたかったのに、もうこの国では全てを手に入れているスーパー高校生であった。
こんな全てを手に入れているなら、着実に積み上げてきた煉獄での王座の方が全然良いと思った。
この国で、わしは完璧な人間より注目もない普通の人間になりたい。
そのために、わしらしく生きていこうと心に決めた瞬間だった。
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