第3話 ここにあるもの全部が不思議
城山モジャに親が来た。
彼の親はどうもすみませんと言った。
モジャは意味がわからず尋ねた。
『どちらさまですか?わしは煉獄の王だぞ』
彼の母親らしき人はこう言った。
『もう、あんたはその歳にもなって子供みたいなこと言ってもう行くわよ』
母親らしき人に連れられて、暗い夜の街を歩いた。
学校が見えなくなると母親らしき人は振り返って言った。
『あんた、どうしちゃったの勉強しすぎて頭おかしくなっちゃったのかい。自分の母親も認識できないなんておかしいよ。それに言葉遣いも『わし』なんて、どこの国の人よ』
わしは食い気味で言った。
『煉獄から来たのじゃ。そもそもここはどこじゃ』
母親らしき人はため息をついて言った。
『ここは日本という国。それにあなたの名前は城山茂邪(しろやまもじゃ)。分かる?』
そこでわしはハッとした。
同姓同名の名前がこの国に存在し、どうしたわけかわしがこの国で高校生をしていると。
だとしたら、本当の茂邪(もじゃ)はどこへ消えたのだろう。
わしがもし高校生なのだとしたら、わしの顔はどんな顔なのじゃろう。
確かめてみたくて、丁度止まっていた固体物の鏡に顔を覗かせ反射で自分の顔を見た。
フフッ。
笑いが溢れる程、煉獄でも惚れそうになるくらい良い顔だった。
その顔を母親らしき人に見られて言われた。
『あんた、車の中見て何してるの?もしかして髪型でも直してるの?直さなくてもあんたはもとがいいからかっこいいわよ』
わしは疑問に思い言った。
『これは...この固体物はくるまというのか。ここは進化してるな。煉獄にあるくるまは火車だった。熱くて熱くて乗るには適していなかった。ここは凄いな。何か暑さを感じれるものはあるか。』
そう言って、母親らしき人は袋から辛(しん)と書かれたカップ麺を取り出した。
母は言う。
『あんたが見てるそれは車だし、どうしちゃったのと思うけど、熱さを感じたいなら辛ラーメンでも食べたらどう?熱いし、辛いわよ。帰って一緒に食べましょ』
モジャには疑問がいっぱいあったが、食べてみたい気持ちもあったしこれからのことはこれから決まれば良いかと何も言わなかった。
それにしても、煉獄ではわしがいなくてどうしているのだろうかと不安になっていた。
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