第13話 生徒会

 同日の夜七時、絶勝学園第一高等学校の中立、そして派閥管理を行う生徒会で会議が開かれた。

「青石入夏の派閥の結成がリーダー三人に認められました」

 象の帽子を被った男子生徒がショートヘアーの凛々しい女子生徒に入夏が提出した派閥結成許可願を渡した。

「わかった。これでこの学園に存在する派閥は四つね」

「いいんですか?こんなにも簡単に派閥ができてしまったとなると、これから沢山の生徒が自分の派閥を作るのではないでしょうか?」

 耳の下で髪を二つに束ねた女子生徒が心配そうに言った。

「その問題はないわ」

 ショートヘアーの女子生徒はきっぱりと言い切った。そして、入学時に撮影した四人の派閥リーダーの顔写真をホワイトボードに貼る。

「青石入夏以外の三人には共通点があるの。久寝くすみ、わかる?」

 そう言われたのは象の帽子を被った男子生徒だった。

「うーん、圧倒的な強さぁ?とかかなぁ?」

 男子生徒は眠そうに答えた。

「まぁ、それもあるけど、それだけじゃないわ」

「と言いますと?」

 女子生徒が尋ねる。

「カリスマ性よ。入学して一か月も経たないうちに学園の生徒を魅了したの。夢がみれる人間だったという事ね」

「なるほど。確かにどの派閥にもリーダーを崇拝している信者のような生徒が見られますね」

「あとは、前代未聞が生み出す魅力かしら」

「どぉいうことです?」

「派閥の総入れ替えなんて今までにないことよ。ましてや、一年生が三年生にいきなり挑んで勝ち、派閥に属すことを志願する生徒が大量にいるなんて前代未聞だわ。普通、倒された派閥の生徒達は後輩につくなんて躊躇しそうじゃない?」

「確かに、そうですね」

「今のリーダー達が起こしたことは全てが前代未聞。しかも全員一年生で、それぞれ被ることのない魅力を抱いている」

 ショートヘアーの女子生徒は顔写真を見て、ニヤリと笑った。

「絶勝学園の歴史上、こんなにも同じ世代が同時期に派閥を作るなんてないことよ。この世代は伝説の世代になるわね。私が学園にいるうちにこんな出来事に関われたこと、神様に感謝するわ」

「でたでた、会長の嫌なとこ。また、中立な立場を利用して、高い所から強者を眺めているよ」

「久寝先輩、それを言ってはいけませんよ」

「久寝、春野」

「なんですかぁ?」

「はい」

 ショートヘアーの女子生徒は二人を自信に満ち溢れた顔で見た。

「断言するわ。この世代は伝説の世代になる。青石入夏がまだ不明だけど、このリーダー達の実力はまだまだ上がるわ。この世代が、今年の三月、確実に校長を倒す」

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