第199話 四月十七日はなすび記念日

 冬春なす主産県協議会が制定。

 四(よ)一(い)七(な)で「よいなす」の語呂合せと、ナスが好物であった徳川家康の命日であることから。

 二〇〇四年には毎月十七日を「国産なす消費拡大の日」とした。



「ヒック」


 またしゃっくりが出た。もうかれこれ十分間は続いてるんじゃないか。全然止まらなくて嫌になる。


「ねえ、なすびの色は何色?」

「えっ?」


 俺はリビングでノートパソコンを使ってネットを見ているんだが、横で映画を観ていた嫁さんがいきなり聞いて来た。


「む、紫かな? でもいきなりそんなこと聞いて来てどうしたの?」

「えっ、知らないの? しゃっくりを止める方法で『なすびの色は何色』って聞くのがあるんだよ」

「えーそんなの聞いたこと無いな」

「ホントよ。私は子供の頃からそうしてたもん!」


 嫁さんが少し拗ねたように言うので、半信半疑でググってみた。


「あっ、ホントだ」

「そうでしょ!」


 嫁さんはほれ見たことかと、胸を張る。


「驚かせれば良いのかと思ってた」

「私はいつもこれよ。 どう? しゃっくり止まったんじゃない?」


 そう言われてみると、さっきから出てない。


「止まったね」

「でしょ?」

「ありがとう」


 よめさんの得意気な顔が可愛くて、俺はお礼を言いながらほっぺにキスをした。すると嫁さんは嬉しそうにハグしてくる。

 いつもうちの嫁さんには癒される。何も特別なことは無いけど、俺に取っては最高に幸せな日々だ。 

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