第139話 二月十六日は似合う色の日
兵庫県神戸市に事務局を置き、「グラデーションカラースケール®」で、一人ひとりに本当に似合うパーソナルカラー診断を提供している一般社団法人日本パーソナルファッションカラーリスト協会(JPFCA)が制定。
「グラデーションカラースケール®」の認知度を高めるとともに、カラーリストのスキルの向上が目的。似合う色を身につけることで「心豊かに人生を満喫できるように」との願いが込められている。
日付は二と十六で「似(二)合う色(一六)」の語呂合わせから。
「そのセーターの色、
もう一〇年以上前の話。当時、私の彼は、私が身に着けている物の色をよく褒めてくれた。
帽子やスカートやハンカチ、何でも褒めてくれるのは嬉しいんだけど、なぜかその物自体と言うより、色を褒めてくれるのだ。
「あの、褒めてくれて、それは凄く嬉しいんだけど、どうしていつも色なのかな?」
「えっ……」
私がどうしても疑問を解消したくなって聞いたら、彼は今初めて気付いたような表情を浮かべた。
「もしかして意識して無かった?」
「うん、言われてみて初めて気付いた」
「あっ、でも、色を褒めてくれるのも、本当に嬉しいのよ。でもどうして色なのかなって」
私は彼が気分を悪くしないように、フォローを入れた。
「どうしてかな。いつもデートで会った瞬間、沙知の姿を見ると印象的な色が目に入ってくるんだ。逆に意識はしてないの?」
私たちは高校の二年生。そう言えば学校で会う時は色を褒められたことが無い。
「特別にはしてないかな。もちろん、どれも好きな色だし、自分に似合うと思って選んでいるんだけど」
「じゃあ、きっと色彩に対する才能があるんだよ。将来何になるか迷っていたけど、そういう方面も良いんじゃない」
「そうなのかな……」
「そうだよ。俺が保証する」
彼の話に半信半疑だった私だが、それ以降も彼が褒め続けてくれるので、とうとうその気になってしまった。
私は今、カラーコーディネーターの仕事をしている。もちろん、その気になってから、凄く勉強したし苦労もしてきた。でも彼の言葉が無かったら、今の自分は無かっただろう。その彼は私の夫となり、今でも「そのスカートの色、沙知に良く似合っているね」と褒めてくれる。その言葉が私の自信になり、仕事の力となっている。本当に感謝だ。
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