第106話 一月十四日は誉め言葉カードの日

 一般社団法人日本褒め言葉カード協会が制定。

 家族や職場の仲間を褒めて感謝を伝える日にするのが目的。褒め言葉カードを普及させ、褒め言葉の大切さを理解してもらうことを目指す。

 日付は一と一四を褒め言葉のひとつである「い(一)い(一)よ(四)」と読む語呂合わせから。



 俺は人を褒めるのが好きだ。褒められた時の嬉しそうな顔を見るのが好きなんだ。褒められて嬉しい人と、その顔を見て嬉しい俺。こんなどちらにもメリットが有ることも珍しい。俺は多くの人を褒めるようにしているが、中でも息子を褒めるのが一番好きだ。

 息子は俺が二十七歳の時に生まれた。褒め好きの俺に子供が生まれたのだから、当然のごとく息子を褒めまくった。まだ息子が言葉の意味も分からない時からだ。

 余りにも、俺と嫁さんで息子に向かって可愛い可愛いと言いまくったから、息子は自分の名前を「イー」だと思ったくらいだ。(カワイーのイーを自分の名前だと思ったらしい)

 歩けるようになり、言葉を話すようになり、絵が描けるようになり、文字まで書けるようになり、息子が成長する度に褒め言葉も変わって行く。


「うわあ、上手に歩けるようになったな!」

「うん、ワンワンだね! 上手に呼べたね!」

「凄い、上手な絵だね! 上手い上手い!」

「凄い、ひらがなが書けるようになったんだ! 凄いよ!」


 と、こんな感じで、ことあるごとに褒めまくった。


 そんな息子が小学三年生になった時のこと。嫁さんが「学校でこんなの書いて来たわよ」って、一枚の画用紙を見せてくれた。

 タイトルは『かんさつカード』。絵日記のようなフォーマットの作品だ。絵の部分には俺の似顔絵が描かれていて、下の文にはこう書かれていた。


(ぼくのおとうさんはやさしくていつもぼくをほめてくれます。それにべんきょうになることだったらいろいろなものをかってくれます。ぼくは本がすきだからいろいろな本をかってくれます。)


 俺は心から嬉しかった。息子も俺が褒めるのを喜んでくれていたのだ。これは息子からの誉め言葉だ。

 人を褒めるのは、その人ばかりではなく、自分まで幸せにしてくれる。これからも俺は、全ての人を積極的に褒めて行こうと思った。

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