第86話 十二月二十五日はクリスマス
イエス・キリストの降誕を記念する日。
イエスがこの日に生まれたという確証はなく、各宗派がそれぞれに日付を定めてイエスの生誕を祝っていたが、四世紀前半、教皇ユリウス一世が「イエスの生誕の日は十二月二十五日」と定めた。冬至の時期であるこの日前後には異教の祭が重なっており、キリスト教側が布教拡大を狙ってこの日をイエス生誕の日としたものと見られている。
日本では一八七四年に最初のクリスマスパーティーが開かれ、現在では宗教を越えた年末の国民行事となっている。
「今年もお疲れ様でした」
一二月二十五日の早朝。仕事を終えて帰って来た父に、私は熱いお茶を出してあげた。
「ありがとう。年々少なくなっているとは言え、全ての子供達を回るのは疲れるよ」
父は私の淹れたお茶を飲みながら笑う。
「今年は冷え込んだもんね」
「まあ、ロシア、ウクライナの担当に比べれば大した寒さじゃないよ」
「そうよね。あそこは今一番お父さんたちを必要としているから、どんなに寒くても行かないとね」
ここまでの会話でお分かりいただけただろうか? そう父は日本担当のサンタクロースなのだ。
父達サンタクロースは、毎年十歳未満の子供達全員にプレゼントを配っている。
サンタからのプレゼントを貰ったことが無い? それは気付いていないだけで、今生きている全ての人が子供の頃に貰っている。サンタからのプレゼントは物でなく、心なのだ。
「どんな困難にも負けない強い心」それがサンタからのプレゼント。
自分はそんな心は持っていないと思う人もいるだろうけど、それは気付いていないだけ。この心は自分が信じていないと効果が出ないの。
一人一人がサンタから貰って、心の奥に眠っている。それを持っていると信じていれば、きっと困難が訪れた時に出て来てくれるわ。
長い歴史の中で、人類は何度もこの心のお陰で困難を乗り越えてきた。最近の日本でも有ったでしょ。
みんながこのプレゼントに気付いて貰えるように、私はいつも祈っている。
メリークリスマス。全ての人々に幸せを。
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