第33話 十一月二日は阪神タイガース記念日の日

 タイガース後援会等が制定。

 一九八五年のこの日、日本シリーズで阪神タイガースが西武ライオンズを破り、三十八年ぶり、二リーグ化後初の日本一になった。



 クライマックスシリーズファイナルステージの第三戦、九回表。原口選手のバットが空を切り、阪神タイガースの二〇二二年のシーズンが終わった。


「あー今シーズンも終わったか……選手のみなさんお疲れ様でした。楽しい毎日をありがとうございました。また来シーズンも応援しますので、頑張ってください」


 部屋で一緒に観戦していた彼は、試合が終わるとテレビに向かって深く一礼した。


 同棲している彼は、物心ついた時からの阪神ファンなのだそうで、時間的に観れる試合は必ず観戦している。私もその影響で、野球は詳しくないのに一緒に観戦するようになった。

 彼は熱心な阪神ファンだが、チームが試合に負けた後でもいつもと変わらず平静を保っている。もちろん勝った日は翌日まで大喜びで機嫌が良い。そんなに好きなら、負けた時にもっと不機嫌になりそうなものなのだが、彼はそうならないのだ。


 不思議に思ったので、彼に聞いたことがある。


「それは親父の影響やねん。親父も熱心な阪神ファンやったけど、負けてもいつもと変わらんかった。俺も不思議に思ったから聞いたことがあるねん」


 お義父さんに会ったことはあるが、阪神ファンだとは知らなかった。


「親父はこう答えたんや。『お前は知らんやろうけど、阪神には暗黒時代という長い間、すっごく弱かった時代があるねん。何年も連続で最下位になったりして、負けるのが当たり前の時代があったんや。そんな時に負けたからって、機嫌が悪くなったりしてみ。体がもたへんわ』ってね」

「へーそんな弱かった時があったんやね」

「続けてこうも言うてた。『馬鹿な子ほど可愛いって言うやろ。弱くても応援するから、勝った時には倍嬉しい。阪神ファンはそれでええねん』って。それを聞いて、俺もそういう阪神ファンになろうと思ったんや」


 私はそれを聞いて、今の彼は正しい阪神ファンになっていると思った。自分の信念通りの応援をする彼を、尊敬出来るし、更に好きになった。阪神タイガースを応援する彼を、私が応援していこうと思った。


 さあ、また明日から阪神タイガースの来シーズンに向けた戦いが始まる。私もまだ細かいルールは分からないけど、一生懸命応援します。頑張ってくださいね!


 ちなみに彼はゴリラ顔で見た目怖そうですが、凄く優しいです。だから私の推しは佐藤輝明選手。ホームラン王目指して頑張れ!

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