第20話 十月二十日はリサイクルの日

 日本リサイクルネットワーク会議が一九九〇(平成二)年に制定。

 「ひとまわり(十)、ふたまわり(二十)」の語呂合せ。

 この記念日が発展して、通商産業省(現在の経済産業省)ほか8省庁が十月を「リサイクル推進月間」(現在のリデュース・リユース・リサイクル推進月間)とした。



 うちの嫁さんはリサイクル関連の「3R」に熱心だ。ゴミの分別などリサイクル活動はもちろんのこと、消耗品は必ず詰め替えできる物を使用するし、個別包装品は選ばないなどのリデュースも意識している。フリーマーケットに参加したり、空き瓶を一輪挿しに利用したりでリユースも積極的に行っている。


 俺も嫁さんの指導の下で3R活動に参加している。面倒だと思うこともあるが、地球の為に頑張っていると思うと気持ちが良い。

 ただ一つ、嫁さんの持ち物で気になることがある。それは本棚に飾っているいちごジャムの空瓶。これは結婚前から嫁さんが持って来たものだ。

 確かにいちごジャムは嫁さんの大好物だ。でも同じ物は今でも買っていて、それはリサイクルに出しているのに、これはちゃんと飾っている。

 無駄な物は置かない、リサイクル出来る物は分別して収集して貰う。それが嫁さんのライフスタイルなのに、何の変哲も無いジャムの空き瓶を置いておくなんて。


 俺は気になったので直接聞いてみた。


「ねえ、この空き瓶はどうしてリサイクルに出さないの?」

「えっ……」


 嫁さんは驚いて言葉を失う。


「もしかして覚えて無いの?」

「ええ……覚えて無いって?」


 俺は何のことか見当も付かなかった。


「これは私が一人暮らしで高熱を出した時に、あなたがお見舞いに買って来てくれたジャムの瓶じゃないの」

「ああ……」


 そう言えばそんなこともあったと思い出した。


「これだけリサイクルに出さないので変だなって思ってたんだよ」

「これもリサイクルなのよ」

「えっ?」


 嫁さんは笑顔でそう言ったが、意味が分からなかった。


「私はこの瓶を見て、嬉しかった思い出を何度も何度もリサイクルしているの」


 さすがうちの嫁さん。思い出までリサイクルしているんだ。

 俺は感心すると同時に、これからも嬉しい思い出を作って行こうと思った。

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