第132話 一人じゃない日常
思わぬパジャマパーティーの翌日。
自宅のPCデスクに腰かけていた俺は、首を鳴らしながら全身を伸ばす。
「……さっぱり分からん」
そして溜め息。
何をしているのかと言えば、至極単純であり――。
「零華さんが社名にピンと来てない時点で予測はしていたが、一般人がネットで調べられるのは、ここまでだな」
PC画面に表示させたのは、“
でも分かったことは、住所と社名が精々。とても情報と言えるような代物じゃない。
強いて言うなら、“
一柳の時は情報が多すぎて大変だったが、今回は見事に真逆だな。
「さて、どうするべきか……」
しかも例の研究施設の時と違って、今回の相手はまだグレーな部分が見当たらない合法な企業。
変に無茶をすれば、周りの連中の立場が危うくなりかねない状況にある。
一柳の時もそうだったが、“
人間ってのは、本当にままならない。
まあとりあえず、現状ではここまで。
後は直に動くしかないわけだが――。
「お泊りパーティーで夜更かしした上、子供たちに絡まれて疲れたのは分かるけど……」
携帯端末のメッセージアプリに入力を終えた直後、思わず背後を振り向く。
視線の先には、
そんなベッドから覗くのは、金色の長髪。
これだけでも、昨日の夜中に寝ぼけてベッドに侵入をやらかしたのが誰なのかについては、考察の必要もないだろう。
自称・大人のお姉さんは、
「んー、むにゃむにゃ……」
時刻は朝の一〇時。
社会人とすれば大遅刻で、休日の朝としてはそれなりに遅め――という程度の時間帯。
しかし毎度ながら、ここまで無防備に寝られると怒る気すら失せるな。いや普通に考えればご褒美とかいう問題じゃなく、毎日顔を合わせる同居人のモラル的な問題としてだな。
それに結果的に一緒に寝た後とはいえ、今日の夜にはまたこのベッドを俺が使うわけで――。
寝返りを打ちながら毛布を被ったり、枕に頭を押し付けたりとやりたい放題されているのは、精神衛生上あまりよろしくない。
ちなみに侵入割合は、雪那が七で俺が三という具合らしい。
まあ雪那とは神宮寺側の無駄に広い風呂で一緒に入っていたり、一緒に寝ているらしいからドジっ娘発揮とはまた別なのかもしれないが、流石にそこまでは知らん。
何はともあれ、異国での生活に慣れつつあることだけは事実だろう。
それに赴任前の事前研修が始まる前までとはいえ、自分が
雪那も風破もヴィクトリアさんも、理不尽な目に合って苦しんだことには変わりない。
もし、どん詰まりの世界が滅びに向かっているのだとしても、せめてこの連中ぐらいは護りたいところだが――。
「来たか……」
携帯端末が小粋な音を立て、さっきの返信を知らせてくれる。
表示された名は、萌神雫。
キャラに似合わない可愛らしいトプ画の隣に、絵文字満載の文面が記されていた
さて、今日は年頃の学生らしく、学園外の不良と
遊んでいる最中に
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