第3章 DiamondDust Tears
第51話 学園対抗戦
研究施設崩壊から一晩明けた放課後――。
俺と雪那は、生徒会室へと呼び出されていた。
ちなみに研究施設の件とは無関係だ。
それと、なぜ俺が何食わぬ顔をして学園に出てきているのか――と思われるかもしれないが、結局あの直後、ディオネとはすぐに別れざるを得なかったからだ。
昨晩の出来事が脳裏を過る――。
研究所の黒煙を背に帰る最中、突如開いた小規模な特異点。
現れたのは、ディオネを“姫”と呼び、彼女を迎えに来たらしい二人の
つまりは新手の“
『烈火、
『いや、そんなことはどうでもいい。それより、お前は……』
『どんな形であれ、貴方とまた
その直後、ディオネは侍女たちと共に特異点の彼方に消え去った。
止める――という選択肢も当然あったわけだが、住宅地で俺と三人の“
命がけで“
よって、ディオネの帰還を見送ることしか出来なかった。
とはいえ、先日の一件で得られた情報も多い。
当然、今日からその辺りについて調べようと思っていたわけだが、今はこうして鳳城先生に呼び出されている。
ここまでが研究施設崩壊から現状までの流れだ。
「さて、お前たちも知っていると思うが、今年も学園対抗戦の時期が迫っている。そこで各学年五名の代表者を選ぶわけだが……」
鳳城先生が言っている“学園対抗戦”――とは、この間の校外学習と同様に学園の恒例行事とされている内の一つだ。
しかも学園宣伝の意味も込めて、テレビやネット中継されるほどの一大行事。
実際、俺もスポーツ観戦ぐらいの感覚で何度か見たことはある。
そして対戦相手はミツルギ学園の姉妹校――“エーデルシュタイン・アカデミー”。通称・AE校。
世界一の大国――“グランデイド”にある
何となくだが、嫌な予感がしてきたな。
「まず神宮寺についてだが、
「私如きにそんな大役が務まるかは分かりませんが、任せて頂けるのなら全力を尽くします」
「そうか、こちらとしても心強い。ではこれが神宮寺以外のメンバーリストだ。何かと負担をかけて申し訳ないが……」
「いえ……」
最初の連絡事項は、雪那の代表選出と一年生チームの大将就任について。
まあ雪那は、学年トップの実力者だ。
他に誰を出すのか――というレベルで、当然の人選だろう。
それより――。
「俺は何のために呼ばれたんですか?」
「ああ、それについてだが……天月、君も一年代表に選ばれた」
「は……?」
今この人は何を言ったのだろうか。
代表選出、Fクラスである俺が――。
「えっと、冗談ですよね?」
「いや、マジだ」
「こういっちゃアレですけど、俺の成績で代表に選ばれると思えないんですが……」
「いくらFクラスとはいえ、
鳳城先生の言葉に思わず肩を落としそうになってしまう。
実際、Fクラスの落ちこぼれが学園代表に選ばれるなんて、成り上がりどころの話じゃないはず。
でも今の俺には、学園対抗戦よりも優先させたいことが山ほどあるわけで――。
「私とて適性のない生徒を推したりはしない。魔導実技最高責任者として、お前が適任だと判断したのだ。出来れば出場して欲しいと思っているわけだが……」
「気持ちは嬉しいです、けど……ッ!?」
当然、鳳城先生の期待が嬉しくないわけじゃない。
Fクラスの俺を評価してくれたことだって、素直に嬉しい――と思っていたら、隣からの刺々しい視線に思わず身を固くした。
「……」
ジト目を向けながら睨んで来たのが、我らが一年大将様だったことは、説明の必要すらないだろう。
そして前門の美人教師。
隣の美少女副会長。
学園屈指の人望者に挟まれてしまえば、劣等生である俺に拒否という選択肢は存在しない。
「代表の件、引き受けてくれるな?」
「はぁ……分かりました。学園側もFクラスをメディアに出す意味をちゃんと理解しておいてくださいよ」
元騎士団という肩書があったとはいえ、流石は着任二年目で実技責任者に成り上がった敏腕教師だ。俺と雪那の関係性をよく分かっている。
まあ頼りにされていることには違いないし、逃げたと思われるのも
それに何より、一応は俺の本業が学生なのも事実なわけで――まあ、少しばかり
世界一の大国。
世界一の学園。
さて、どんな魔導が見られるのやら。
◆ ◇ ◆
学園対抗戦・選出人員一覧。一年の部。
一年Aクラス
使用
一年Aクラス
使用
一年Aクラス
使用
一年Aクラス
使用
一年Fクラス
使用
以上、五名。
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