第17話 助けたのは転生者
僕は急いで魔物の所へ向かう。走ること20秒にしてついに馬車を探知で捉えることが出来た。意外と近いな。
犬の場所と今の俺。そして馬車の距離を考えるに、このスピードでは間に合わないか。仕方が無い、スピードをあげるか。
スピードをあげなかったのは理由がいくつかある。ひとつに探知が出来なくなることだ。いや、できない訳では無い。範囲が100メートルまで縮んでしまうのが正しい解釈だ。
ふたつめに疲れる。これは今からの戦闘でどれだけ力を使うか分からないからできるだけ温存しときたい。
気ならなんとでも使えるのだが、魔力はまだ操作が慣れていないため、集中力を使うのだ。
「あとすこし」
魔力の探知内に犬が現れた。
だけど、それとほぼ同時に馬車も現れた。つまり、もうすぐ交戦が始まる。
「ジェットブースト」
僕はさらにスピードをあげるために魔法を発動する。
この魔法の弱点は直線にしかすすめないことだが、今は関係ない。なぜなら、もう視認出来るぐらい近くに来ているからだ。ジェットブーストをかけた僕は100メートルを2秒で駆け、ようやく戦場に到着する。
護衛が交戦中であるが、数的不利に加えレベルでも劣っているため防戦一方だ。僕は牽制のためファイヤボールを投げる。すると5匹の犬のうち1匹だけ倒すことに成功し、さらに他の犬の動きを一瞬止めることに成功する。僕はその隙を逃がさない。
「光の剣」
刀に光魔法を纏わせることで切れ味をあげる技、光の剣を使い残りの4匹を仕留めにかかる。
うん、余裕でした。連続で3匹切断したけど、思った以上にスピードも耐久力もなかった。
最後の1匹だけ馬車の中に入ろうとしてたけど、光の剣の遠隔攻撃で余裕だったし、まー、快勝かな。
私の今の名前はハル=ワトソン
前世では叶 未来だった。ある日、クラスで授業受けてる時に急に周りが光、目を開けると赤ちゃんだった。
うん。状況把握にかなり時間がかかったし、混乱しまくっていたけど赤ちゃんだから泣くのは当たり前ってことで何も疑われないのが幸いだったね。
転生じゃなくて転移だったら危なかっただろう。
別に悲観的になることは無い。お父さんお母さんは恋しいが、今は別の父と母がいる。それで幸せに暮らせていけるのだから問題は無い。
なんでも私が生まれた家は子爵家だったらしく、安全で文化的な暮らしを続けていた。そう、今日までは。
昨日から学校へ行くために王都へ向かっている。魔物も出る危険性があるため念の為冒険者を雇い厳重体制だった。
なのに、魔物に負けて倒れてしまったのだ。
全滅ではない。ヒーラーと盾使いがやられ、残るは弓使いと剣使いのみ。非常にまずい。祝典を使うしかないと思っていたその時、王子様が現れた。
まず、ファイヤボールで1匹レッドウルフを仕留めると、続けざまに4匹剣で仕留める。そして最後は斬撃を飛ばし、私の目の前に来たレッドウルフを倒してくれたのだ。
もう、これに惚れない女はいないだろう。
前世と考えるとどう考えても恋愛対象外の子供。
でも、今の私の年齢なら普通だろう。
この数年でわかったことだが、どうやら精神は年齢に依存している。私だけかもしれないが色々と小さい時は抜けている部分が多かった気がする。
だから、今この王子様に恋をするのも必然と言えるだろう。
というわけでここから私の新たな物語がはじまるのだ。
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