第7話 N-WGNを見に行こう
「この車ありますか? あれば見たいのですが」
販売店にメッセージを打ち込んだら、十五分ほどでお返事が返ってきた。すごいな、カーセンサ〇。
「まだ売れておりませんが、何軒かお問い合わせをいただいております」
ディーラーの試乗車上がりで、1年落ち3800㎞で119.7万円、乗り出し価格127万円。事故車と整備の心配はない、9インチの純正カーナビとETCとフロアマットがついているので、新車価格で乗り出し170万円といったところだろう。程度を考えると破格に安い。
新型のホンダセンシングが付いているので、歩行者と自転車対応の自動ブレーキ、追従型のクルーズコントロール、高速道路でのレーンキープ補助がついている。
軽自動車になんでそんなもんつけたんですか? アホなんですか? この追従型のクルコン、従来型と違って前が止まると自分が止まる。便利。やばい、人間がだめになる。
さて、翌日11時に予約したものの、京都の城陽までいかねばならぬ、大阪のチベットみたいな我が家から、城陽に行くには車が必須。さらに、この車がダメだったときに、次点として見に行く車が守口と箕面にある。
遠い、一日仕事にするには大変遠い、仕方がない車を……車を貸してよタイムズカーシェアリング。
てってれー♪ 東京に住んでいるときに入会したカーシェアリングで、スズキ・ソリオを借りて、おじさんは一路城陽めざす。
―― お? この車も追従型クルコンついてるやん。
ついているものはしかたがない、一度はボタンをおしてみたい。おじさんは好奇心の塊である、猫だからしかたない。
さいわいクッソ田舎道、いいペースで流れている。好奇心は猫を殺すのだ(違法ではないが、マネしちゃダメゼッタイ)
「ぽちっとな」
どこかで聞いたような声が脳裏をかすめると同時に、クルコンを入れるおじさん。ひと月ほど前に借りたヤリス君は、さすがトヨタ「ここは高速ちゃうわボケエ」と、文句を言って、クルコンいれさせてくれなかったが、そこはスズキ、クルコンが入り前の車を追いかけ始める。
「おー、なるほどなーこれは高速だと便利だろうなー」
ひとりごちながら、おっかなびっくりで、ブレーキペダルに足を乗せて待ちブレーキで宇宙猫みたいな顔になるおじさん。
そう、何を隠そう、おじさんはクルコン付きの車など乗ったことないのだ。昭和生まれだからしかたない。ちなみに、おじさんの乗るソリオは、数百メートルほど前の車について行ったあと、どんどん速度が落ちはじめる。一般道だからあたりまえである。
そして……30km/hを切ったとたん、
「うはwww30km/h切ったからクルコンやめるわwwwっうぇwww」
インパネにメッセージを残して、それなり近い車間でいきなりクルコンが切れるのだった。こっわ。
知ってたから、ペダルに足のせて待ちブレーキしてるし、ええねんけども。こう、もうすこし、こう。
いきなりだと、ちょっとびっくりするよね、うはwwwwじゃねえわwwwwwってなるよね。これがコンパクトカーの普通なんだけど。
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