第七章 第二節 破壊神
城内は鬼兵があまりいなかったがそれでも精鋭部隊が配置されていた。そんな精鋭鬼兵も鬼捧で次々粉々にされていった。
そんな中……鬼兵がここは見てはいけないと頑なに拒んだエリアがあった。普段は迂回して謁見の間に行くのだ。だが獣族と人間が好奇心から室内に入った。ミラとアラの静止をふりはらい、突撃する部隊。
そこは獣族や人間族を容器内でクローン培養し、そのまま食肉加工する秘密工場であった。血肉がミキサーによって砕かれる。血肉はそのまま缶詰容器に封されていく。中には溶かされた上に血肉を混ぜ込み、医薬品として加工されていくラインもあった。工場は宮廷内部の秘密のエリアにあったのだ。天空に住む中層階級の鬼族ための食糧だった。ミラとアラらはここに食材を運んでいたのだ。鬼族が自分達の身体を欠損した場合も容易にここで移植手術できるようにもしてあった。手術室まで完備されていた。王族はこうして長き命を得ていたのであった。培養液で満たされた管に人間の死体が浮いている。
友軍の一部兵士が次々と
「鬼族の人口爆発の対策として人工培養システムが作られたのです。天帝の慈悲で我々は自滅せずに済んだのです。その天帝を我々は裏切ったのです」
「耐えられぬ、先に行くぞ!!」
タウスとケンと王子が次のエリアに入ると、そこはただ広い空間が広がるだけであった。部屋に入ったとたん部隊全員が肉片と化した。鉾を持つ男がこう毅然と言い放つ。
「よく来たな。ここは食糧を最終確認する品定めの場だ。お前たちも我らの食糧になるのだ」
(あれが私たちを苦しめた元凶、最悪の大魔サルワ)
「我は追放されしアフラ族の王にしてインドラ様の配下サルワなり!」
「なんだって!!」
「そしてこの扉の向こうにいるインドラ様のもとには行かせない」
「お前は……アフラ族の神でありながら、裏切ったというのか……」
「そうだ。魔導物質を我の体に埋め込んだ上で、天界への復帰と世界の半分をわが領土とするという条件でな。人間の血肉はなかなか美味だったぞ」
「裏切り者。ふっ」
「笑うがいい。我はアンラ・マンユ様同様、世界を滅ぼすものなり」
「そして新たな世界を作るものなり」
「この姿でな!」
「させるかよ!」
ミラとアラがタウスとケンに向った攻撃を払い、さらにサルワを切りつける。防御が間に合ったのだ。
「早く扉の向こうに行って。因縁がないほうが冷静に戦える!」
「ミラ、感謝する」
「アラ、生きて戻って来い!」
「おうよ」
タウスが扉を叩き壊す。
「行かせない」
二人の暗黒物質を纏った鬼の喉が唸る。
「お前らごときが阻めるとでも思ってるのか?」
容易にすり抜ける。
鉾の先にあるのは急いで逃げる王子。
そのまま貫き通した。
「がはっ!」
だが、倒れたのはタウス。王子をかばったのであった。
「行け。暗黒竜の子孫よ」
血を吐きながら言う声。そのまま振り向かず行く王子。
後ろを振り向かず前へ突き進む王子。
長き廊下のその先は謁見の間の控え室となっていた。扉を開ける。
「やあ。王子待っていたよ」
そこにいたのは自分と同じ年齢の青年であった。手には剣。
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