第30話 国王陛下とジミー公爵がケンの能力に驚く!

 ミサキの修行を終えたケン達一行は、王都の家に戻ったが、そこに国王陛下とジミー公爵がいた。ミサキは喜びのあまり、ケンの亜空間の家のことをつい喋ってしまった。その結果、クララを含めて3人を亜空間の家に連れていくことになった。



「今から見ることは、他言無用でお願いします。」


「わかっておる。」


「オレは亜空間を作ることができるんです。」



 実際に亜空間の扉を出して見せた。



「な、なんと?!」


「ついてきてください。」



 すると、リバーシに夢中になっていたクララもついてきた。なぜかオレの手をつないでいる。中に入った瞬間、驚きのあまり国王陛下もジミー公爵も開いた口が塞がらない。



「この山もこの空もこの小川も伯爵が作ったのか?」


「やはり親子ですね。ミサキも同じことを言ってましたよ。」


「それでどうなんだ?」


「はい。この空間の中にあるものは、すべてオレが作りました。後ろの家もです。」



 国王陛下とジミー公爵が振り向くと、そこには真っ白なログハウスが建っていた。



「あっ。ウサギさんだ~!」



 クララがうさぎに手を差し出した。すると、心配性なジミー公爵が慌てて止めようとする。



「公爵様。大丈夫ですよ。この空間の生き物もすべてオレが作りましたから。人に危害を加えることはありません。」


「伯爵よ。やはり、お主は神なのか?」


「そうですね。この亜空間の中だけに限って言えば、創造神のような存在でしょうね。でも、オレは人間ですよ。」


「家の中を見せてもらってもよいか?」


「はい。どうぞ。」



 オレは家の中に案内した。ドアを開けると真っ白な空間が広がっていた。天井も壁も真っ白だ。そこに置かれているソファーも家具類もすべて純白だ。広々としたキッチンも白色だ。そのどれもがこの世界のものとは違う。



「トイレと風呂はオレの自信作ですよ。」


「トイレ?」



 オレがトイレに案内すると、国王陛下もジミー公爵も感動で言葉に出ない。さらに風呂を見て絶句した。



「伯爵。このトイレと風呂を、どうにかわが国で作れないだろうか?」


「魔石があれば可能ですね。」


「魔石ならあるぞ。魔鉱石の鉱山もある。」


「ならば作れるかもしれません。」



 オレはクララの手を引いて3人の部屋を見せた。



「ここがミサキの部屋です。まだほとんど使ってませんが。」



 真っ白の壁に真っ白の天井。ピンクの布団が掛けてあるお洒落なベッド。家具類もすべて日本風のお洒落なものになっている。



「お父様。クララ、やっぱりケンお兄ちゃんと結婚する。クララもこんなかわいいお部屋で暮らしたいもん。」


「クララ。他の3人もケン殿と結婚してるわけじゃないんだぞ!」



 ジミー伯爵の言葉にミレイとローザとミサキの顔色が変わった。国王陛下もジミー公爵も満足したようなので、亜空間から元の家に戻った。



「ちなみに、ここで働いている執事とメイドは、オレが作った人造人間ですよ。」


「まさか!」


「お父様! 本当よ! ケンが作るのを私も見てたもん。」


「もう。伯爵には驚かんよ。」


「兄上。私もです。まさかあの時の少年が、これほどの人物だったとは思いもよりませんでした。」


「これでもう、オレの秘密はありませんから。」


「ところで、伯爵。そなたはどのくらい強いのだ?」



 ここでミレイが爆弾発言をした。



「ナギトールのダンジョンも踏破したにゃ。」



 すると、ローザまで話し始めた。



「最下層のノーライフキングなんか、ケン兄に手も足も出なかったよね。」



 すると、ジミー公爵が驚いて言った。



「ナギトールの冒険者が40階層に到達したら、ノーライフキングがいて、手も足も出なくて逃げ帰ったと聞いた。その際、ノーライフキングが再びあの方と戦いたいと言っていたそうだが。もしや、あの方というのは・・・・」



「まっ、そんなこともありましたね。」



 そんな話をしていると、クララが可愛く言った。



「ケンお兄ちゃん。食べるもの何かない? お腹すいちゃった!」


「ちょっと待っててな。」



 オレは亜空間に行って、イチゴショートケーキと紅茶、それにクララにはオレンジジュースを創造して、空間収納にしまって戻ってきた。



「食堂に行きましょう。皆さんのおやつタイムです。」



 食堂で空間収納からみんなにイチゴショートケーキを出した。みんなには紅茶を、クララにはオレンジジュースを出した。クララが真っ先に食べる。



「美味しい!! お父様! これすごく美味しい!」


「本当にゃ。甘くて美味しいにゃ。」


「本当! やっぱりケン兄は最高!」


「やっぱりケンと一緒にいたいわ~!」



 全員が満足しているようだ。だが、クララだけはまだ食べたりないようだった。



「ケンお兄ちゃん。他にはないの?」


「あるけどまた今度ね。」


「うん。隣だから、私、毎日来れるもん。」


「こらっ! クララ!」


「いいもん。なら、ミサキお姉ちゃんのようにケンお兄ちゃんと一緒に暮らすもん。」


「クララちゃんには、まだ早いよ。」



 すると、クララがオレのほっぺにキスをしてきた。



「チュ」


「今のは誓いの印だよ! 私、絶対にケンお兄ちゃんのお嫁さんになるもん。」



 クララもローザと同じぐらいの歳だが、何故か子どもっぽく感じる。やはり、ローザがエルフだからだろうか。その日はそれで解散となり、オレ達はみんなが帰った後も居間で休んだ。

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