第28話 ミサキの剣を用意する!
ケン達は、亜空間で作った人造人間の執事とメイドを連れて、王都に屋敷に戻ってきた。現在はみんなで居間で休んでいる。
「さて、ミサキを連れて王城まで戻るか。」
「え~! もう、戻るの~?」
「要件は終わったしね。」
「わかったわ。」
オレ達はミサキを連れて王城まで戻った。そして、王城の応接室で待っていると、そこに国王陛下と王妃がやってきた。
「街はどうだったの? ミサキ?」
「はい。お母様。初めて見る景色はとても素晴らしかったです。」
「そうか。それは良かったな。」
国王陛下も王妃も心底喜んでいる。
「お父様。お母様。やはり、私はケンと一緒にいたいです。」
「お前は王女なのだぞ!」
「ミサキ。あなたの身体じゃ無理よ。剣だって握ったことがないでしょ。冒険者なんて危険な真似はさせられないわ。」
「私、これからいっぱい訓練するわ。だから、お願い。ケンと、ケンと、一緒にいたいの! お願いします!」
ミサキは泣きながら必死に国王陛下と王妃に訴えている。
「国王陛下。王妃様。どうでしょう。オレが5日ほど訓練しましょう。それで、成長しなければ諦めるということでは。」
「お父様お願いします。」
ここで、国王陛下は考えた。わずか5日ほどで強くなれることなどありえないと。恐らく諦めさせるための口実ではないかと。
「よかろう。では、5日後に近衛騎士団の団長と模擬戦をして判断しよう。」
「本当ですか?」
「本当だ。」
オレ達は王城を後にして一旦屋敷に戻った。
「ところで、ミサキは魔法の適性を知ってるか?」
「光です。」
「光か~。なら、剣がよさそうだな。あまり力を必要としない細剣がいいな。みんなで武器屋まで行こうか?」
「うん。」
ここで問題勃発だ。今までオレの右手はミレイ、左手はローザが握っていた。そこにミサキが来たのだ。みんなでジャンケンを始めた。なのでオレからみんなに提案した。
「なあ、手をつないでると、いざってときに困るんだよな。当分手をつなぐのは中止ってことでいいかな。」
「え~!」
すると、3人がブーブー言い始める。だが、本当に困るのだ。みんなを守ることができない。オレは心を鬼にすることにした。武器屋まで来ると店先に様々な武器が展示してある。だが、店員がいない。オレは声をかけながら店の奥に入っていった。
「誰かいませんか~!」
すると、奥の方からトンカンと金属を打つ音が聞こえる。
「トントン、カンカン」
「ちょっといいですか?」
オレが声をかけると、男性は驚いた様子で振り返った。
「あ~、びっくりしたな~! なんだい急に!」
「びっくりさせてすみません。細剣を探しに来たんですよ。」
「店先に飾ってあるだろ?」
「飾り物でなくて実用品が欲しいんです。」
「なんだと~! 展示してあるものは、実用品にならないってことか?」
「そうですね。あれだとすぐに折れるでしょ。」
「お前、何者だ? 少しは見る目がありそうだな。」
店主が立ち上がってこっちを向いた。すると、髭を生やしたドワーフだった。
「こっちに来い。」
オレ達がドワーフについて行くと、大剣、長剣、短剣、細剣とあらゆる種類の剣が飾ってあった。どの剣も見事なつくりだ。
「これならどうだ? 文句あるまい。」
「すべてミスリル製ですか?」
「ああ、そうだ。だが、これだけの剣を使いこなすのは素人じゃ無理だぞ。」
「彼女が使うんですよ。」
「大丈夫なのか?」
「今は無理ですね。でも、オレが修行しますから、3日もあれば使えるようになると思いますよ。」
「ハッハッハッ。3日でか。どう考えても無理だろう!」
「信じられなくても結構ですよ。この細剣をいただきます。」
「売れないな。」
「お金なら払いますよ。」
「そうじゃない。使いこなせない奴には売れないってことだよ。」
「なら、どうしたら売ってもらえますか?」
「このお嬢さんが3日で本当に使いこなせるようになるかどうか、お嬢さんを指導するお前さんの腕前を見たいな。」
「わかりました。」
ドワーフの店主は近くに転がっているミスリルの出来損ないの剣を拾った。
「お前さんにこれが切れるかい? 失敗作だが、一応はミスリスだぞ!」
「やってみます。」
オレは店主からミスリルの剣を受け取り、それを上空に放り投げ、落ちてくる間に、オレは背中の剣でそれを細かく切った。恐らくオレ以外の人間にはオレが剣を抜いたところさえ見えないだろう。
「ポロ、ポロ、ポロ」
ミスリルが粉々になって地面に落ちる。
「お前さん。今何をしたんだ?」
「言われた通り、切ったんですよ。」
「馬鹿な!!!」
「見えなかったんですよね。あなたには。」
「ああ。見えなかった。」
「なら、それがオレの実力です。いかがですか?」
「ちょっとお前さんの剣を見せてくれるか?」
「いいですよ。」
オレが店主に剣を見せると、店主の顔色がどんどん変化していく。手に取ろうとした瞬間、ドスンと地面に落ちた。オレの剣はオレ以外が持とうとすると、重くなって持ち上げることすらできなくなるのだ。
「こ、こ、この剣をどこで手に入れた?」
「ある人からもらったんですよ。」
「誰だ? それは誰なんだ?」
「言えません。」
「お前さん。この剣が神剣だと知っているのか?」
「ええ。知っていますよ。」
「お前さんは神なのか?」
「どうしてですか?」
「神剣を使えるのは神だけだ!」
「オレは人間ですよ。」
「わかった。その細剣を売ろう。金貨5枚でいい。」
「ありがとうございます。」
これまでのやり取りを見ていた3人は、またかという顔をしている。オレは細剣を店主から受け取ってミサキに渡した。これで準備万端だ。
“リン。この近くで魔物のいる場所はないかな~?”
“街から出て東に森があります。そこにオークの群れがいます。”
“ありがとう。”
「じゃあ、みんな行くよ。」
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