第27話 人造人間の執事とメイド

 ひとしきり亜空間の中にいたオレ達は、外に出て商業ギルドに向かうことにした。すれ違う人達がみんなオレ達を見ている。



「なんか注目されてるにゃ。」


「どうしたんだろうね。」


「みんなケンを見ているのよ。」


「どうしてにゃ?」


「ケンが伯爵になったことを知っているからよ。」


「でも、昨日のことだよね?」


「今日早朝に発表したからね。」


「そうだったんだ~。」



 オレ達はそのまま商業ギルドに入った。すると、全員が直立不動で挨拶をしてくる。



「ようこそおいでいただきました。王女様。伯爵様。」


「ごめん。みんな普通にしていて欲しいんだけど。」


「畏まりました。」



 どうやらオレ達が来ることが知らされていたようで、ギルド長が自ら出迎えてくれたようだ。



「今日はお願いがあってきたんですけど。」


「どのような御用ですか?」



 ここでオレは考えた。もしかして、オレが亜空間で人造人間を創造して、屋敷で働いてもらえばいいんじゃないかと。



“リン。オレの新しい屋敷で働いてもらうのに・・・・”


“可能ですよ。”


“言わなくてもわかるの?”


“はい。マスターのことをいつも大切に見ていますから。”


“リン。何か怒ってる?”


“別に怒ってなどいません。ただ、私も自分の部屋が欲しかっただけですから。”


“でも、リンは実体がないから無理だよね?”


“そうですね。今は無理ですね。”


”『今は?』ってどういうこと?“


“・・・・・”



 人造人間が作れることが分かった以上、もう人を雇う必要がない。そこで、オレはポーションの買取を相談することにした。



「このポーションだといくらで買い取ってくれますか?」



 オレは鞄からローポーション、ミドルポーション、ハイポーションの順で1本ずつ取り出した。



「少々お待ちください。」



 ギルドマスターが真剣に見ている。



「そうですね。ローポーションは銀貨5枚、ミドルポーションは大銀貨7枚、ハイポーションは大金貨1枚でいかがでしょうか?」


「では、ここに全部出しますね。」



 オレはローポーション80本、ミドルポーション40本、ハイポーション20本を取り出した。



「これ全部買い取ってくれるかな。」


「畏まりました。すぐにご用意いたします。」



 オレは代金を受け取り、みんなと一緒に商業ギルドを後にした。



「ケン。使用人は雇わないの?」


「いらなくなったんだ。」


「ケン。また旅に出るにゃ?」


「いいや。違うよ。」


「亜空間の家で暮らすんだよね。ケン兄。」


「それも違うよ。」


「まっ、一緒に来ればわかるさ。」



 オレ達は新品になった屋敷に戻った。そして、再び亜空間に行き、そこでオレは魔力を集中して人型のロボットを想像した。すると、メイド服を着た女性の人造人間が5体と執事のような人造人間が1体現れた。すべての人造人間がオレに対し片膝をついている。 



「君達にはオレの屋敷の管理をしてもらいたいんだ。」


「畏まりました。創造主様。」


「創造主様はやめてくれよ。そうだな~。伯爵様と呼んでくれるかい。」


「畏まりました。伯爵様。」



メイド服の女性達は全員が違う顔をしている。地球にいた時のお気に入りのアイドルを想像したからだろう。全員に名前を付けようとしたが、覚える自信がなかったので、番号を付けて区別するようにした。執事が1号。メイド達は2号から6号だ。



「みんな。これから、屋敷に行くけど、メイドの仕事と執事の仕事をお願いね。」


「畏まりました。伯爵様。」



 オレが人造人間を作り出す様子を、3人は楽しそうに見ていた。



「ケン兄って、意外にエッチなんだね。」


「なんでだよ~。変なこと言うなよ。ローザ。」


「だって、メイド達ってみんな胸が大きいよ。」


「オレも男だからな。」


「それに、スカートが短いよ。」


「いいだろ。その方が可愛いし。」



 ミレイは自慢の胸を前に突き出した。ローザはすかさず自分の胸を手で隠す。ミサキは別に気にしてないようだ。オレ達はメイドと執事を連れて再び新居に戻った。

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