第21話 初めてのポーションづくり
食堂を出た後、オレ達は城門の外の森に転移した。そこで久しぶりにマップを起動して薬草を探す。マップに現れた群生地で薬草を取ることにした。
「ケンは凄いにゃ。なんで、ここに群生してるってわかったにゃ?」
「なんとなくね。」
「ケン兄。見て! こんなに取れたよ!」
ローザが両手いっぱいに採ってきた。
「今日はこの辺にして、戻ろうか?」
「そうだにゃ。でも、どこでポーション作るにゃ?」
“リン。ポーションの作り方を教えてくれるか?”
“はい。大丈夫です。ただ、臭いが出るので、家の中は避けた方がよろしいと思います。”
オレ達は亜空間の家に戻り、そこで、ポーション精製のための小屋を作った。
「凄いにゃ。一瞬にゃ。」
「ケン兄は何でも作れるの?」
「何でもってわけじゃないさ。それより、採ってきた薬草を外の小川で洗ってきてくれるかな?」
「了解にゃ!」
ミレイとローザが薬草を持って、小屋の近くに流れる小川に行った。
“リン。早速作り方を教えてくれ。”
“はい。マスター。最初にお湯を沸騰させてください。その後、よく洗った薬草を一旦細かくして、煎じます。煎じ終わったら、お湯の中に入れて弱火で煮込みます。煮込む際の注意ですが、マスターの魔力を流してください。『ヒール』を流せばハイポーション。『リカバリー』を流せばキュアオールポーションができます。”
“普通に売られているのはどのポーションなの?”
“普通は低級のローポーションか中級のミドルポーションです。ハイポーションは大金貨1枚の価値があります。ほとんど出回りません。キュアオールポーションは作れる存在がおりませんので、市場には出ていません。市場に出れば大白金貨1枚でも売れると思います。”
“なら、オレが作ったらダメじゃん。”
“ミレイとローザが作っても、ミドルポーションかハイポーションになります。”
“薄める方法はないの?”
“ハイポーションを水で10倍に薄めればミドルポーションになります。さらに10倍に薄めればローポーションになります。”
“キュアオールポーションは?”
“薄めることができません。”
“大体わかったよ。ありがとう。リン。”
“お役に立ててよかったです。私は彼女達と違って常にマスターと一緒にいますから。”
「えっ?!」
なんか、リンが意味深な発言をした。今までもそうだが、最近は指輪のリンが少女のように思えてくる。
「ケン。洗い終わったにゃ。何をすればいいにゃ?」
「後はオレがやるから、2人は休んでていいよ。」
「なら、ローザ。川で魚を捕るにゃ!」
「魚?!」
オレが不思議そうな顔をしていると、ローザが教えてくれた。
「川にお魚さんが沢山いたよ。ケン兄が作ったんでしょ?」
オレは魚を想像した覚えはないんだが。するとリンが教えてくれた。
“マスターが想像した際に、川の中に魚がいる風景を想像されていました。他にもリスやウサギのような野生動物もいますよ。”
“そうなの? ドラゴンじゃなくてよかったよ。”
オレはポーションづくりを始めた。細かく切って煎じていると、すごい臭いが漂ってくる。まるで養蚕の時の臭いだ。かなり厳しい。それでも我慢して煎じていると、不思議と臭いに慣れてきた。
ミレイとローザが大きな魚をそれぞれの手に持って戻ってきた。
「ケン。臭いにゃ。川の方まで臭うにゃ。」
「ごめんよ。仕方ないんだ。それより、よく捕まえたね。」
「ミレイ姉、ケン兄に食べさせるんだって、凄かったんだよ。」
「ローザ! 余計なことは言わなくていいにゃ!」
「ありがとう。2人とも。家で夕飯作ってくれるかな。オレの方ももう少しで終わるから。」
「待ってるにゃ。」
オレは煎じた物を熱いお湯の中に入れて、魔力を流しながら煮込んだ。そしていよいよ完成だ。最初に作ったポーションは、ハイポーションが20本。ミドルポーションが40本。ローポーションが80本できた。因みに、いざという時のためにキュアオールポーションも10本作ってある。
家に戻るとすでに夕食の準備が整っていた。
「ケン兄。準備できてるよ。」
すると、ここでミレイが恥ずかしそうに体をクネクネさせて聞いてきた。
「お風呂にするにゃ? ご飯が先にゃ? それとも僕にゃ?」
恥ずかしかったらしく、声が小さくてよく聞こえなかった。そこでローザが解説を始めた。
「ミレイ姉はお風呂が先か、ご飯が先か、それともミレイ姉が先かを聞いてるよ。でもミレイ姉が先って何のこと?」
ミレイが真っ赤な顔をしてキッチンに入ってしまった。
「先に食事にするよ。その後風呂かな。風呂から出たら2人と遊ぼうか?」
するとミレイがキッチンから顔を出して聞き直した。
「本当にゃ?」
「早く食べようよ。冷めないうちに。」
「ローザ! 早く食べて剣と遊ぶにゃ!」
「うん!」
みんなで食事をした後、2人が片づけをしている間にオレが先に風呂に入った。そして、2人が風呂に入っている間に、日本にいた時のことを思い出してリバーシを作った。しばらくして、風呂からでてきた2人は、テーブルの上に置いてあるリバーシを見つけた。
「これ何にゃ?」
「さっき、2人と遊ぶって言っただろ。その遊び道具さ。」
オレはいつものように2人の髪を乾かした後、リバーシの遊び方を教えた。すると、2人は目の色を変えて遊び始めた。もう止まらない。気が付けば3時間はやっている。もう我慢の限界だ。
「ごめん。オレ先に寝るよ。」
「なら、僕も寝るにゃ。」
「私も!」
結局大きなベッドで3人一緒に寝た。完全にオレは2人の抱き枕になっている。
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