第2話

電車に乗り最寄り駅から徒歩で20分ほど歩き帰宅した。

空は曇り空で周りの景色が薄暗くぼんやりしている。

少し強めの冷たい風が体に当たって歩きにくいしイライラしたけど、冬っていう存在はこういうものだと思った。

玄関を開けて家の中に入ると、手も洗わず何か話すこともなく子供部屋に向かった。ゆっくりドアを開け、机の上に駅の構内のコンビニで買ったジュースと明太子おにぎりを置いて、ベッドにもたれかかるように座り込んだ。

僕のベッドは見た目が木材そのままでお洒落じゃないし、枕もシーツも白色でなんだか病院のベッドみたいだった。

少し味気ない気持ちになってシーツに鼻をくっつけて匂いを嗅いだら、母親のお気に入りの柔軟剤のフローラルな匂いがして生活感を見つけた僕はホッとした。


今日もなんてことない平凡な日だったな。

講義中に教授の話が長くて寝そうになって掌に爪を食い込ませて目を覚まさせたり(僕の爪は長くて不衛生だ)、電車で端の席に座ってスマホをずっと見てたら首が痛くなったり。

別に面白くはないけど酷くもなかった。

それよりも駅から歩いて帰るとしんどい、きっと運動していないからだけど。

だからいつも部屋に入るとこうやって座り込んでしまう。

でも今は冬だからまだいい。

僕は汗っかきだから夏は帰宅すると部屋に急いで入って、扇風機の強のボタンを押して至近距離で風を浴びないといけないからだ。

そう思いながら、少しのどが渇いた気がして立ち上がりジュースのペットボトルを手に取って飲む。

いつも2日に1回はコンビニで飲み物を買うけど、コーヒーや紅茶だったりをローテーションするのが楽しみだったりする。

今飲んでるのははライムのサイダーだ。ライムは名前の響きが好きだし、レモンより苦くて大人な感じがする。

サイダーでのどと頭が少しすっきりしていくのを感じながら、今日見つけたあの「新聖人:エドルフ」の映画を今週末にでも観に行こうと決めた。



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