三つ巴戦争2
はにかんだ笑顔を僕に向けていたよーちゃんだったが、すぐに視線を移動させ、周りを見渡す。
「あたしの名前は、花山陽って言います!!みんなの代表として、入学式の時は南先輩と固い挨拶をしていたけど、本来のあたしはこんな感じで砕けているの。だから、みんなも気軽に『よーちゃん』って呼んでくれると喜びますっ!!!好きな子はー…ううん、違う。あたしの未来の結婚相手は、そこに座る黄泉穂花ちゃんです!!女の子同士だけど、将来を誓い合った仲なんだ!!こんな変なあたしだけど、仲良くしてくれると嬉しいです!!」
僕を指差しながら自己紹介した瞬間、空気の温度は二極化した。
他の子達からは彼女の先程の自己紹介に温かい眼差しを送っていた。
一方で、玲緒奈は彼女に対して、氷点下に達していると錯覚するほどの冷たい視線を向けるのに対して、如月健斗は彼女へ炎が燃え上がるような視線を向けている…気がするのは僕の見間違いだ。きっとそのはずだ。
二人の視線から察するに、玲緒奈は許さない、健斗はライバル出現!!燃えるぜ!!俺のハート、とこんな感じで思っていると邪推してしまった。
『くっくっくっ…!!愉快なり、愉快なり!!良いではないか。面白くなってきおったのじゃ!!』
——いや、僕にも原因はあるけど、アフロディーテにも原因あるからね!!
『あの男以外抱けばいい話じゃ。なんならさんぺーなんてのもありかもしれぬのじゃ』
——僕を揶揄うなぁぁ!!
◆◇◆◇
「黄泉穂花さんとは、次の機会にたくさん話をしなくてはなりませんね…」
りっちゃん先生が、教壇に右肘を預けながら。右の掌を自身の額へと置き、悩んでいる。その姿はまるで、僕が問題児だと言わんばかりの視線を送ってくる。
——失礼な!?
しかし、彼女も立派な教師である。先程の衝撃的な自己紹介から頭を切り替えて、次は手をビシッとあげてアピールをしている月夜玲緒奈に自己紹介を促す。
「私の名前は月夜玲緒奈…さっきの如月健斗と花山陽は私の大事な人を盗もうとする人…みんな騙されないで…私と…生涯を遂げる人は穂花だけ…よろしく」
——普段の丁寧語がないのは恐らく、よーちゃん達との張り合いが原因でしょうか…。
クラス中から、様々な声が飛び交う。Aクラスを見渡すと女の子が六人、男の子が四人…そのうちの僕と当事者達を除いた六人が声を我慢の限界だと言わんばかりに声をあげたのだ。
「きゃー…三角関係?四角関係?」
「このクラス三大美少女同士がくっつくだと…!?だったら、俺たちの夢は…」
「すげ〜だなぁ」
「呑まなきゃやってらんねぇ」
「はぁ…あたいも恋したいアル…」
「ふっ…くだらん…」
ちょっと待って…情報過多に陥っちゃうよ…!!その後、玲緒奈は自分の席へと座り、如月健斗は相手にならないと判断したのかよーちゃんとのみ睨み続けた。
「次は黄泉穂花さんにお願いします。この状況の責任をとって、三方との関係を貴方が自己紹介でしてくださいね?」
りっちゃん先生は、この
——僕がドジっ
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玲緒奈の丁寧語に対する説明不足の訂正及び改行の訂正をいたしました。ご迷惑をおかけし大変申し訳ないです。
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