個性溢れるクラスメイト達、集合!!

 りっちゃん先生に指名された僕は、椅子から立ち上がり…クラスメイト達の視線に晒されながらも、右手を胸に当て、精一杯の笑顔で、みんなに自己紹介をする。




「初めまして、僕の名前は黄泉穂花です。先程の御三方に限らず、皆様とも仲良くなりたいと思っております。好きな食べ物は、そうですね…オムライスなんかが好きです。よろしくお願いします」




 僕のごくありふれた自己紹介に静まり返る教室…




 ——りっちゃん先生は…鋭い視線を

 ——玲緒奈は、僕をチラチラ…、よーちゃんは僕へジト目…、如月健斗は… 僕に不気味な笑顔…

 ——他のクラスメイト達からは、物足りないと言わんばかりの視線を




「ゴホンッ…それでは、自己紹介の続きを始めましょう。田所梓さんから順にお願いします」




 りっちゃん先生がこの混沌カオスとした状況を強引に咳払いをすることで、場の空気を変えて進める。




「呼ばれてなんとやら!!梓の名前は田所梓たどころあずさです。好きな子はいません!!仲良くしてください!!後、黄泉さん達とは是非お近づきに..!!」

 ——彼女はサブキャラの筈だ。設定は…恋バナ好きな子だけど、逆に、自分が恋に堕ちるとヘタレになる感じのポンコツ設定にしている。そのせいで、僕たちの関係に食い気味に反応していたのだろう。





「リュンシャンと呼ぶアル。この国とは異なる遠い国から来たアル。好きな子はいないアル」

 ——七章のヒロインにして、レスタ魔法学院に諜報スパイ活動にきている子だ。かなり重い設定だが…今はいいか…





「ぼ、僕の名前は山田太郎やまだたろうと言います!!!す、す、好きな子は花山さんです」

「ごめんなさい」

 ——断るの早すぎるし…彼は、デスヨネといった感じで落ち込む様子もない。恐らく、次の恋を迎えるためにヤケクソで告白したのだろう…。ごめんね?




「…………拙者の名は宮川臨みやがわのぞむと申す。米は一杯、味噌汁、漬物…うつつに抜かす軟弱な野郎共と背中を合わせて戦うつもりは毛頭ない」

 ——彼女は、武士っで二章のヒロインだけど…漫画の設定だから許された娘だと改めて反省しなければ…!!現実で見ると…みんなより一回り小さい容姿に反して、周囲にひしひしと殺気が滲み出ていてすごく怖い…!!

『いやいや…こういう強気な女子こそ、屈服させれば、身も心も全て捧げて思いのままなのじゃ』

 ——僕の困っている様子から察したのか…理解することを拒否したくなる様な声が聞こえた気がする…きっとこの声は気のせいだ。そうに違いない…。






「俺の名は田中勇気たなかゆうきっていうんだぜ?すげ〜だろ〜?好きな子〜?いねぇなぁ〜、すげ〜だろ〜」

 ——ネタキャラとしてぶっ込んでいた彼だけど……春なのに冬の様な寒さを感じる…。いや、もちろん、彼も僕の子だ…。なんかごめんね?




「おらの名前は、酒蔵酒郎さかぐらしゅろうっていうんだべ。おらが好きなのはおっとーが淹れてくれた酒とおねぇがたまに作ってくれは美味しい料理だぁ」

 ——彼はこのクラスの中で背丈が一番小さいのに対して、横幅は一番大きい。しかし、それも仕方ない事だろう。彼の種族をにしたのが僕だからだ。彼の姉も、六章のヒロインなのだが…今はいっか!!




 皆の自己紹介を強行することに成功したりっちゃん先生が、はぁ…と深い溜息をついた後、「今日はこれで終わりますが、残って友達を作りたい方は自由にしてください」とだけ告げて、彼女は教室から出ていった。


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