思わぬアクシデント
『
しかし、僕の目の前で桜の木に手を付けて、一昔流行った壁ドンならぬ桜の木をドンしている
何者かに魔改造されたと耳にしても信じそうになる程、変わり果てた如月健斗だった。
——キ、キレソウ…僕がヒロインに転生を果たした時点で、他の人も…と予想できていた事とはいえ…なんて事してくれているのかなぁ…。
「お断りします♪」
「はぁ!?なんで、確かに俺が見ていたエロ本では…うまくいっていたはずなのに…」
——なんか細々と呟いてるなぁ…そもそも、この
「俺に逆らったらどうなるか、その身体で分からせてやるよぉ」
先程のキメ顔とは打って代わる表情で…僕へ今にも拳を
◆◇◆◇
——こいつにあの神と契約させたところで、あのやり方では、うまく行くはずがない。しかし、それ以上にお前は僕を怒らせた。未来のお前が契約に至る神を『
——愛と美と性を司る最高神 アフロディーテ 僕に奇跡魔法を寄越せっ!!
『妾の真名を呼んだのはお主なのじゃ?』
——だったら?
『残念じゃが、契約するつもりはないのじゃ。主は、女子に加え、性格も奥手すぎて妾を満足させることなどできぬのじゃ。あの獣の方が見込みはありそうなのじゃ』
——僕の前世は男だ。それに、この世界の事にも精通している。そうだなぁ。アフロディーテの過去を話そうか…。同じ最高神と不貞を働いた…
『待つのじゃ、主が何故それを!?妾の真名だけでなく、弱みまで握っておるとは、本当に何者じゃ?』
——強いて言うなら君達の神の中の神かな? それで、契約は結んでくれるよね?
『わ、分かったのじゃ…主に妾の奇跡魔法を授けるのじゃ。だから、その事は秘密にしてほしいのじゃ』
——
『む…?何か言ったのじゃ?』
——何でも無いよ。ありがとね。
◆◇◆◇
眼を開けると…我慢できなくなってしまったのか…入学式で人が多いにもかかわらず、如月健斗の振り上げた拳が、目の前にまで迫っていた。
——契約に成功したけど、そういえば、誰も
痛みを伴うことを我慢して、ぎゅっと眼を瞑り耐えようとした。
パァン
「…何があったのかは知りません…。けど、女の子に…手を出すのは良くないと思います…」
恐る恐る目を開けると——僕の前に同じ制服を身に付けた滑らかな
——
「は?って、お前あの漫画の暴力女じゃねぇか!!力は強えくせに、俺とヤル時は受け身の分際が邪魔するな」
パチンッ
その言葉を耳にした瞬間——気づけば、僕は彼の右頬を全力で叩いていた。
「消えて!!!僕達の前から消えてよ!!!」
「僕?穂花の口調は私のはずって…お前もまさか俺と同じ、転生…」
「うるさい!!お前なんかと一緒にするな!!!」
僕は頬から涙を
無論…そんな場所で大きな声を出せば、騒ぎを駆けつけてくる新入生達がいる。
流石に、分が悪いと感じたのか…如月健斗は、僕達へ舌打ちした後、立ち去っていった。
——如月健斗も僕の子だ。当然、愛着もあったし、彼が漫画通りの誠実な姿ならば、彼と僕がお互いを知らないまま、結ばれる未来もあったかもしれない…。
しかし、今はそんなことを考えてる場合ではない。後ろを振り返り、玲緒奈の表情を見ると、彼女は震える身体を両手で抑えながら…俯いていた。
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