第11話 五階層(2)

五階層に降りてきても敵自体はそこまで変わらなかった。




人型モンスターのゴブリンとスライム型のモンスターはそのままスライムという名前のようだ。




コウモリのような姿をしたケリラーという敵が新しく出てきたが、飛びついて吸血してくることに注意すればそこまで脅威でもなかった。




「なんだ、5階層もそんなに苦労しないんだな。」




「ボスさえいなければそんなものよ。基本的にボスは徘徊していて見つかると大変なことになるけど今はいないから安心ね。」




「ボスフロアは珍しい素材も多いから持って帰ればたくさんのセルになるわ」




「それはいいな」




出てくる敵を倒しながら、そんな雑談も出来るようになっていた。




「そこの広場で休憩にしましょ。」




「そうだな」




ある程度狩ったので少し広めに見える広場で休もうと、通路から入っていったのだが、、、




「なにこれ、、、、なんでこんなに人が死んでるの、、」




凄惨な後景だった。ここに来たであろう攻略者の死体が10人以上転がっている。全員に噛みちぎられた後のようなものが残っている。




「なんだあれは、、、」




その死体の山の先に見えるのは体長10メートルはあるワニのような生物だった。




「なんで、、、ありえない。どうして今、アリゲルテルがいるの。まだボスの復活はしてないっていう話じゃ、、」




そのはずだ。換金所の職員のそう言ってた。なのに。




「とにかく逃げましょう!私たちに手が出せる相手じゃないわ!」




猛ダッシュで俺たちは来た道を引き返す。だが、それ以上のスピードでアリゲルテルが迫ってくる。ワニみたいな体のくせに早い。




「大気に満ちる空気よ、凍てつく槍で敵を貫け。フロストスピア!」




マリンがボスに向かって魔法を放つ。




「効いてない!?」




少し速度が落ちただけでダメージはほとんどなさそうだ。




「だめだ。追いつかれる応戦しよう。」




俺も剣を構え、最大火力の炎舞を放つ。




しかし、傷は入ったものの反撃され壁に弾き飛ばされてしまった。




「いてて、、、」




全身に鋭い痛みが走る。




このままではマリンが殺されてしまう。




「ひゃ、、」




今にもボスが襲いかかりそうだ。




俺は全力でボスの前に戻り、斬りかかる。




が、相手の火力が高すぎてこっちだけが削られていく。




「ぐ、、、」




意識がどんどんなくなっていく。




「憐也!」




仲間も守れないのか。こんな弱いままだと。




「天照大神アマテラスの名の下に希望を照らせ」




「レフェクティオ!」




どこからか詠唱の声がして、俺の体力や魔力が回復した。




「これなら戦える。だけど、、」




今の技じゃ火力不足だ、、、どうしたら、、。




「あなたの剣は2つの属性を付与できるわ!」




2つの属性、、、イメージしろ、、、あいつに勝つ方法を!




「炎雷エンライ!」




二本の刀を合わせてボスの顎めがけてひと突き。




ボスは奇声を上げて、消滅し、欠片を落とした。




「倒したのか、、、」




だが一体誰が助けてくれたのか。聞き覚えがある声だったが、、




「ミズキだったのか、、、なんでここに」




「たまたまポーションの素材を取りに来ていて、憐也達が襲われているのが見えたから助けに来たの。」




「そうだったのか、、ありがとう助かった」




「とにかく街に戻ってちゃんと治療してもらって。後ろにいる女の子もつれてね」




少し語尾がいつものミズキより強い気がしたけど、気のせいだろう。




「そうするよ」




いろいろ思うことはあったが、まずは街に帰ることにした。




憐也    スキル一覧


覚醒  何かのスキルに突然目覚める確率が上がる


炎舞  剣に炎を纏って攻撃する。


    攻撃力上昇


    火属性


    物理属性


炎雷  剣に炎と雷を纏って攻撃する。


    攻撃力上昇


    火属性


    雷属性


火事場 ピンチになると攻撃力上昇




  マリン             スキル一覧


フロストスピア 発動キー「大気に満ちる空気よ、凍てつく槍で敵を貫け」


        氷属性


        魔法属性




  ミズキ           スキル一覧


レフェクティオ 発動キー「天照大神の名の下に希望を照らせ」


        周辺にいる人の体力、魔力回復


???     ???

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る