第24話

百美は買い物も普通に行く。俺の家は舎弟、関係者の誰にも教えてない。百美の護衛が必要かと思ったが、別に俺とは無関係だし。俺との関係を知ってるのは、金貸してるアパートに住んでる住人たちだけ。こいつらは、俺のプライベートに干渉してくる奴らを報告するように契約している。金貸してるし、保護してるし、こいつらはかなり口が堅い。

たもつと一緒に住んでいた家は、舎弟に譲ったし、あいつは学校の近くに引っ越した。あの家は、舎弟が代わる代わる入ってたから騒がしかった。おかげでチビは1人になりたくなったのか?


「ねー奥さんの仕事って、料理、洗濯、掃除くらい?であってる?」


「まぁなぁ」


朝からなんの話だよ。帰宅したら、飯を作っていたから食べることにした。眠いし食べたらさっさと寝よ。百美は料理はできたが、質素なものを作る。体に染み付いた、施設の習慣だ。だが、こうやって家で普通に会話してるというのが、俺にとっては不思議な気分だ。どういうわけか、百美はいつも隣に座ってくる。もううちに来て1カ月は経っただろうか。


「保科の役に立ってる?」


「まぁ、お前が元気ならそれでいい」


「じゃあ保科も元気になってほしい」


「いや、元気だし」


「そうかなぁ?私だけ元気な気がする。ご飯たくさん食べてるし。保科ももっと食べないと」


「あぁ」


「お弁当とか作ろうか?」


これが、嫁ねぇ…。自分がどうしてあのとき連れてきたかわからない。


「じゃあ、子供。俺の子供産んでくれよ」


それは、無意識に言っていた。

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