第22話
「美山さん、またバイトだめだったんだ」
公園にいる大学生くらいのひょろひょろの男の子が、私に話しかけてくる。
「…なかなか難しいですね。早く見つけたいんですけど…」
「一攫千金狙わない?この辺にカジノがあって。ゲームしてもうかるんだよ」
「ゲーム?」
「ルール教えるから、君も行こうよ」
「え、そんな簡単にできますか?」
「入場料は5万円するけど、それくらいあるよね?」
「はい…でも」
「倍以上もうかるよ?」
「本当ですか?」
「1日ですぐもうかるから。簡単だよ」
施設から手切れ金みたいにもらったお金。友達との暮らすために取っておきたかったけど、いまのうちにお金を貯めていないと生活できそうにない。
それからルール教えてもらってカジノに行った。で、お店がなくなった。
「はぁー、バカすぎて何も言えねぇ」
友達と話していて思い出したから…このことを保科に話すと笑われた。
「そのクソに金取られてるじゃねぇか。どうせそいつはお前の金だけで遊んでたんだろうな」
「…やっぱり」
「全部チップになっちまったってことだ。で、お前はちっとは儲けてたがそいつがどこに行ったかはわからねぇってことだな」
「うん」
「そいつを探すなよ」
「なんで?また公園行ったら会えるかも。お金返してって言えば…」
「会うな。そういうやつとは、二度と会うな」
厳しく言われてしまった。
「そいつはおそらく、ホームレスから金搾取するクソ野郎だ」
「え、そうなの?」
「前のところにはいないだろうな」
「…危なかった。保科がお家に呼んでくれてよかった」
「端金くらいもう忘れろ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。