第20話

「でも君は…今日でクビって仕事終わったら言われた」


「給料は?」


「もらったけど…」


「なんでだろな?年を言ってなかったのか?」


「言ったよ?卒業したから働きたいって」


「他の連中とはどうだった」


「うーん、みんな年上の人だった。私が小さいからいろいろ言われたけど。でもへーき」


「そいつらが気に入らなかったんだろうな」


「そうなのかな」


保科はまた目をつぶりつつ、頭を撫でてる。


「どうせお前、施設にいたとか話したんだろ」


「話したよ?」


「あいつは得体がしれないだのなんだの、都合のいいこと言ったんだろうな?」


「そんなぁ!でも聞かれたら言うよね?」


「言うしかないもんな。でも百美は不器用じゃねぇよ。むしろ仕事できるんだ。うちのこともやってくれてるじゃねぇか」


「そうかなぁ」


「ありがとな」


保科はそのまま寝てしまった。

あ、ありがとうって言った!珍しい〜

大きな手をそっと頭から下ろす。するとぎゅっと手を掴んできた。保科はよく寝ながら苦しそうにしてるから、ちょっと心配なときがある。だから手を握ってあげると、ふっと落ち着いたりする。今日は保科から握ってきたのでちょっとびっくり。

保科…今日は泣いてる。勝手にぎゅっと抱きしめてあげる。


「大丈夫だよ」


そう言うと、保科は私を抱きしめ返した。私は自分のことはよく話すけど、保科は全然話してくれない。仕事のことはダメかもしれないけど、保科のこともっと知りたい。どうしたら話してくれるかな?

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