第19話

「おかえり」


「なんだよ、起きてたのか」


保科は朝方帰ってきた。布団に入ってきたから、ちょうど目が覚めた。


「友達と会ったんだ」


「そうか」


目を閉じる保科。聞いてるのかな。


「スルメ持って行ったら喜んだ…。ほとんどなんにもない家で、私がもし住んだらと思うと、ちょっと悲しくなった…迷惑すぎる」


「…携帯は?持ってたのか?」


保科はいつの間にか目を開けてる。


「うん。他の友達の連絡先もいっぱい教えてくれた。だからまたみんなに会おうかなと思う。それで、私まだ結婚してないの?」


「…あぁ、今は養子」


「友達に、言えなかった。詐欺かと思われそうで」


「バカ。詐欺じゃねぇよ」


保科はにっこり笑って頭を撫でてきた。


「今度会ったときは、結婚するって言うね」


「好きにしろ」


手はそのままで目をつぶり出した。


「仕事先の人はいい人っぽいけど、全然お金もらってなさそうだった。私も1日でクビにされたし、厳しいのかな…居酒屋って」


「百美はなんでクビになったと思ってんだ?」


また目を開けて話してくれた。


「不器用だから?」


「仕事内容は?なにした」


「お肉を串に刺したよ?あと、いっぱいお客さんにご飯配ったり」


「普通に仕事してるじゃねぇか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る