第16話

「百美、俺がカレー作るから、作り方見とけよ」


食べ終わったセリフとは思えないことを俺は言ってる。


「え!なんで?保科眠たいんじゃないの?」


「いいから」


気になって眠れない。野菜切って煮込んでこんなもんさっさと作ってやる。


「包丁使うの上手」


「普通」


百美は隣でわくわくして見てるし。


「え、こんなにたくさん具をいれるの?」


「そ」


「え!お肉が家にあったの?」


「冷凍してるんでね」


いちいちなんでも反応してきて面白くなってきた。


「お前の作ってた倍くらいの材料入れるぞ」


「ひゃー、そうなんだー!そういえば学校のカレーってすごい美味しかったけど、あれもこんな感じで作ってたのかな」


「それよりうまいぞ」


「楽しみー!」


こんな簡単なのいくらでも作って食わせてやる。


「さっき食ったけど、食うか?」


「うん!食べたい!」


実はけっこう飯は食うほうなのかもな。


「ついでやる」


「ありがとう」


2人分ついで、また定位置へ。


「…わぁ!おいしい!さっきの不味く感じる」


正直な感想だ。


「バカだな…どんどん食え。うまいもんもっと食えよ」


「保科ありがとう。感動する味!」


「百美にも作れるから。材料買ってまた作ってみろ」


「うん!わかった!はー幸せな味」


「飯で幸せになれるのはいいな」


「保科も幸せになる?」


「あぁ。なる」


百美は嬉しそうに食べる。眺めてるだけでも幸せになれる気がする。

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