第12話

百美のあと、風呂に入って、ソファーに戻るとまだ寝転がってるし。


「布団で寝ろよ」


「保科も一緒に寝ようよ」


…はぁ?


「昨日のお布団、ここに置いたままだったの。あっちの畳の部屋にいつも敷いてる?」


「そうだけど」


「じゃ、行こう」


むくりと起きて、布団を勝手に隣の部屋に運んでるし。


「このお布団大きいからいいね」


たしかに、チビがいたとき使ってたし…最近はまったく使ってなくて、ほぼソファーで寝ていたが。


「保科も寝よう?」


どういうつもりだ?百美はそう言って布団の上に寝転がってしまった。

寝息がすぐに聞こえる…


「おい、…寝てんのかよ」


早すぎんだろ。

しょうがない…百美を持ち上げて布団の中に入れ、隣に寝てみる。まぁ、全然余裕でスペースはあるから、あまり近づかないようにしよう。今日はもう疲れた。寝よう…。


目が覚めると百美はいつのまにか俺のそばに寄っている。ホームレスのときは、なにかされなかったのか心配になってしまった。


「あれ…保科?起きてるの?」


薄く目を開けた百美の頭撫でていた。


「お前さ、変な男に嫌なことされたことあるか?」


「なに?変なこと?」


「いや?」


寝ぼけてるのになに聞いてんだか。百美は目をまた閉じた。


「保科になでなでされるの気持ちいい」


「…あっそ」


別に百美は好きでここに来たわけじゃないのに。なにやってんだよ俺は。


「仕事行くから。飯は勝手に食えよ」


「うん


「あと、買い物行けよ?道迷ったら電話しろよ。昨日俺の番号教えただろ?」


「うん。わかったよ。いってらっしゃい」


「…あぁ」


百美は眠いのに薄目を開けて言ってくれた。

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