契約

第7話

「保科〜」


「…あ?」


目を開けると目の前に百美がいる。


「電話だよ」


「あぁ、悪ぃな」


携帯を持ってきてくれたようだ。寝ぼけて画面を見る。うわ、珍しく寝過ぎたな。


「兄貴、今どこすか」


「先に行ってろ」


ふー。くつろぎすぎた。


「お仕事?」


「…あぁ。そうだ金やらないと」


あれ、財布どこやったっけな。昨日疲れて帰ってきて、あんまり覚えてないな。


「保科の荷物、これ?まとめておいた」


いつのまにか百美は俺の荷物を持ってきた。財布と携帯、車の鍵、家の鍵。


「…え、俺どこやってた」


「玄関の上にある靴入れの上に投げてたよ?部屋入ってすぐポケットから出してた」


…覚えてない。そういや、昨日の片付けもしてない…。いや、机にはなにもない。


「お前、ゆっくりしていいんだぞ」


「片付けのこと?もうお昼だし片付けたよ?ご飯は?」


「俺はこれから仕事だ。お前は勝手に冷蔵庫からなんでも作るか、飯買えよ。ほら、金やるから着替えでもなんでも買ってこい」


財布から金を取り出して渡す。


「さっきもう作ったよ?おにぎりとおかず。持っていく?」


「いや…」


百美は話を聞かないで、台所へ移動する。金受け取ってないし引っ込めた。


「ほらこれ。たくさん作ったの」


皿におにぎりと卵焼きが並んでいる。


「…今食う」


勝手におにぎりをとって頬張る。中身には昆布?


「なんだこれ、俺昆布なんか持ってない」


「それは、私のおやつ」


…はぁ?なんだって?


「菓子入れんなよ」


「あ、保科笑った」


…な、なんだよ。じろじろ見て。

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