第6話

「店は他にもあるだろ?」


「んー、そこの人が優しくて。けっこう…辛く、当たられることいっぱいあるから。優しい人がいいから…。公園もけっこう大変でね…」


だろうな。俺もそうだった。


「保科さん、ありがとう。私、すごく困ってたの」


「…いや、別に」


「話しかけてよかった」


そんなこと言うなよ。…俺は誘拐してるみたいなもんだろ。


「おい、呼び方は保科ほしなでいい」


「じゃ、百美ももみでいいよ。友達はももって言ったりもするよ?どっちでもいいよ」


「んじゃ百美、さっさと飯食え」


「はーい」


百美は食べ終えると、もう目を瞑ってる。まぁ、子供は寝てる時間だが。


「もう寝ろよ」


「…ここで寝るね」


「待ってろ、布団出してやる」


ったく、なんで俺がこんなこと。


百美を布団に寝かせて、俺はソファーに寝転がった。片付けなんて後でいい。百美の髪はぐちゃぐちゃになるかもしれないが、別にいいだろう。

この空間に、いることが、どういうわけか落ち着いた。


バタバタいう音で目が覚めた。誰だ?

…いや、そうか…昨日拾ったんだ。


「あ!おはよう」


「お前、朝からうるせぇよ…」


「トイレ行っただけだもん」


「バタバタドア閉めんなよ」


「普通に閉めたのに」


「俺はまだ寝る」


「これ片付けていい?洗濯物洗っていい?」


「そんな動かなくていいし…ゆっくりしとけ。もう腹減ったのか?」


「ううん」


たぶん、習慣で目が覚めるんだろうな…。


「テレビでも見てろよ」


「いいの?見ても?」


そんな喜ぶなよ。…いや、夕食時くらいしか見れなかったのかもしれない。

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