第5話

「なんか、イメージより…」


「なんだよ」


アパートに連れてきたが、きょろきょろと部屋を見渡してる。


「普通の部屋だね」


「なんだと思ってんだ」


「え、だって、保科さんの車キレーだから、豪華なお家かと」


「がっかりしたか」


「ううん。友達とアパート住むつもりだったから、一緒だなぁと思ったの」


なんだそれ、よくわからない。


「で?飯から食うか?」


「食べたい…」


素直だな。ぽんぽんと頭を触る。


「え!だめだめ!汚いよ私」


「あーそうだったな。じゃ、風呂からな。沸かしてるから入れよ」


「え!いつ沸かしたの?」


「今さっき。ここ押せばいい」


ボタンを示すとまじまじと見ている。


「すごーい!ありがとう」


無邪気に喜んでいる。


「あ、おい。着替え。俺の服やるから。あとタオル準備する」


なんで俺はこんな世話してんだか。


飯作りながら待ってたら、風呂から上がってきた。が、眠そうだ。その辺に座ったが、目を瞑りかかってる。


「髪濡れてるぞ」


「うん…」


しょうがないから別のタオルを持ってきて、髪の毛を包んでおく。そして、飯を準備したものを目の前の机に置いた。


「おい、飯。適当に作ったけど、お前アレルギーとかないか?」


「ないよ!なにこれおいしそー!」


匂いで目が覚めたようだ。


「ただのチャーハン」


「いただきまーす!」


背が低いし、チビだから俺の服はデカすぎた。袖が邪魔そうだからまくってやる。子供だな、こいつ。


「おいしい。久しぶりに米食べた!」


「なに食ってた」


寝てしまわないか心配だから、隣に座ることにした。


「えっとー、パンの耳とか…もらいに行ったりして…」


「そいつはいい作戦だな」


「そう?でも、先客に取られちゃうの」

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